消失少女
かぐや、いざ向かわむと
『……。』
無言で刀を構える時雨の目は
虚ろ。
何も映っていない。
「あまり気は乗らねぇが…行くぜィ……。」
この前は着物を来てたくせに隊服を着て弔い合戦とは皮肉なものだ。
「時雨!!目を覚まして下せェ。」
『…覚ま、す……?籠狗夜は起きてる…』
無表情に首を傾げ、まっすぐこちらを見るところ「覚ます」という事にまったく心当たりが無いようだった。
「そういう意味じゃねェ。正気に戻れって言ってんでィ!」
『籠狗夜は元々正気だよ…正気じゃないのはあなたの方……。私は時雨じゃない…籠狗夜。』
「違う!オメェの名前は時雨!久遠時雨でさァ!」
籠狗夜はもうやり取りに飽きたのか地面の石を蹴り刀を弄っていた。
『でも私知らないもん。人違いよ。』
『…じゃあ………。』
次の質問をされる前に時雨は地面を蹴り刀を振り上げた。
『バイバイ。真選組の沖田隊長さん。』
かぐや、いざ向かわむと
かつての仲間に刃をむける……。
[*前へ]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!