しょうがないから(サカイ)
「450円になります」
2人の女が買っていったのは、ラッピングされたチョコレート。「手作りじゃないの?」「面倒くさいしー」なんて会話しながら店を出てった。
「…」
コンビニでバイトしてれば、イベント事に疎い俺でも近付いてきてる事は分かる。
…バレンタインデー
そんでもって、一緒に働いてる佐原がウキウキ…と言うか…うん、あからさまに期待しているのが分かる。
…俺からのチョコを。
(去年もだったよな…)
イベントが近付いてくると、佐原からのアピールで何と無く察してチョコを、俺から…
(オカシイだろ)
と思いつつも、喜んでた佐原の顔を思いだすと嬉しくなるのは事実で。チョコやったのだって、好き…だって自覚あるから、だよな?って自問したり。
「カイジさん、顔赤いよ?」
ニコニコした佐原の顔が少し意地悪く見える。
「何でもねえよ」
用意せざる負えないというか、仕方ないんだ。そうだ。
バイトが終わり、渡すタイミングを見計らってたら佐原が近付いてきた。
(今だな)
「佐原、こ…」
『はい!これ、カイジさんにあげる』
「何だこれ?」
ラッピングされた箱?
『流行の逆チョコですよー。もしかしてカイジさん知らない?』
「ぎゃ、逆チョコも何も、逆になる要素ねえし!……つか、俺からやるのは決定事項なのかよ?」
『当たり前!』
「…」
言葉に詰まる。
今まで他人から貰ったチョコなんて片手一つで足りるくらいだけど、これは…
『本命だからね!スキだよ、カイジさん』
なんつーか、別格なのか?
「俺も…」
持ってるチョコが熱で溶けるんじゃないかと思った。
『カイジさんもあるんでしょ?俺に』
キラキラした期待の目を向けられる。犬みたいだな。
「ん…今回貰う側だったしなー自分で食っちまおうかな」
『ハハ!やっぱりちゃんと用意してくれてたし』
「煩い、ほら」
ホワイトデーは俺もやらなきゃいけないのか。やらなきゃ煩さそうだしな。
『ありがとう、カイジさん』
愛ってやつの再確認なんて必要無いけど…
お前が嬉しそうな顔してくれるんだから、しょうがない。
「い…一応、本命だからな」
fin.
バレンタインだから(笑)
…ツンデレになってない?orz
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