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◆その身で償って(市アカ)
【その身で償って】


「赤木だろう…?」


その男の問掛けに、廊下を歩く微かな足音が止まる。

障子に映る陰さえ盲目の男には見えないが、サングラス越しの眼はその姿を捕えている様に人形を見つめる。

「…」

アカギと呼ばれた人影は口を閉ざしたまま障子を開け、男に近付いていく。


「よくオレだって分かったね…市川さん」


「分かるさ…わかるとも」


そう言って見えないアカギにゆっくりと手を伸ばす。

温度を確かめるかの様に、髪に触れ、頬に触れ…

光を失った眼の代わりに、研ぎ澄まされた聴覚や神経で感じるアカギの…足音、息遣い、体温。

「市川…」

黙って触れられていたアカギは、市川のサングラスを外した。

サングラスを取ると、盲目の眼と自分の眼が合う。見えないはずのその眼に、まるで何もかも見透かされている様な感覚を覚える。


「あげられたらいいのにね、オレの目」


「クク…面白い事を言う奴だな。ならお言葉に甘えて頂こうか?」

途端、フッと空気が揺らめくと、アカギの唇が市川の唇を塞いだ。

「駄目だ、これは罰だよ。あんたが一生オレのこと見れないことに対しての…」

この男の眼が見ているのは闇。一生自分には向けられない光。

「一生分ならこのくらいじゃたらんな?」

「!ー…」

今度は市川からの口づけ。先程とは比べ物にならないくらいの、深い交わり。


「ッん…ふぅ」


むさぼるように絡みついてくる舌に堪らず空気を求める様に吐息を洩らす。
するりとアカギのシャツの中に市川の手が侵入し、ピクリとアカギが震えた。

「もう降参か?赤木よ…」

その反応を楽しむ様に、好き勝ってに体に手を這い回せる。


「こんなんじゃ足りないよ…」


熱っぽく上気した眼で市川を見据える。

「やらしい顔しおって」


指でアカギの目元をなぞりながらクク…と笑う。
それが何故か悔しくて、恋おしいと思った。


(市川…これはただのオレの侈りだけど…)


「…もっと触って」

(オレを感じて)


眼を閉じて、聴こえる鼓動に耳を澄ませた。



END









送りつけた突発短文〃
サーセン(><;

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あきゅろす。
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