カフェのお時間(佐カイ)
(そわ…)
「どうしたんすか?カイジさん」
「いや…こういう所あんま入ったことねえから」
佐原に誘われて来たのは、シンプルだけどしゃれた喫茶店。珈琲や甘いケーキの香りが漂い、時間がゆっくり流れていくような空間。
「から?」
「なんつーか落ち着かねえ」
パチンコ店の、ひっきりなしに聴こえるジャラジャラとした音とか煩い音楽とか、蒸せる煙草の匂いとかの方が落ち着く…なんて考える。
「ぷッ」
「!なに笑って…」
「ホントかわいいなぁ」
「…はぁ?」
何と無く恥ずかしくなって、ニコニコとしながら自分を見ている佐原から目を離すと、メニューに目を移す。
「あれー!?佐原じゃん。オヒさー」
「ユミ!?店ん中居たの?」
(女の子…ダチ?)
会計を済ませて、佐原に声をかけてきた女の子。二人で楽しそうに話だす。
「…(なんかモヤモヤする)」
「前にこの喫茶店。寄ったことあるよね」
「ッ(まさか…元カノとかじゃ)」
「てか、男友達とこの喫茶店とか珍しいよね?」
じっとカイジを見て、にこりと笑うこのユミって子が佐原と似合いそうだなと思ったら何故か自分が虚しくなってきた。
「カイジさんはダチじゃないよ」
「!ッ(まさかコイツ…)」
「カイジさんはオレの恋…「だあああぁ!!」
辛うじて声でかき消したが、顔は多分真っ赤だし、周りの客の視線で更に顔に熱が集まる
…違和感バリバリだ。
「こい…?何?…あ!友達呼んでるから私行くね!じゃあね二人とも」
外にいる女友達の元へ行くユミに手をふる佐原をカイジは涙目で睨む。
「バカヤロウ…」
「くく…カイジさん慌てすぎ。…もしかして妬いた?」
「〜うるせえ、黙れ」
悪びれない佐原に多少苛ついたが、自分の事を恋ナントカと紹介しようとした事に嬉しさを覚えたのは事実で…
考えてみれば、佐原が女と話してるのなんてよく見る。
「…お前ってモテるよな」
つまんねえ事言ってまた自分を追い詰める自虐的なオレ。
「オレはカイジさんにモテてればいいの」
「う…」
「“恋人”以外にモテても嬉しくないもんね、オレは!」
「…モテるの部分は否定しないのかよ」
「あー!!もっとカイジさんにモテたいなあ〜v」
「あほ」
きっと落ち着かないのは、ゆっくり流れる時間が佐原をより感じさせるから。
END
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