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たまごなおはなし
『ガリレオン』 -物忘れ- 3
真矢ミキオ、通称ミッキーが呟いた「物忘れ」と言うひとことで、僕たちの一回目の謎解きが始まった。

「物忘れってだれでもするよね。それって覚えてなくてもいいって脳が判断するから、ポって忘れちゃうんじゃない?」
ヒガシこと東山ケイコが言うと、上から目線で福山マサコが言った。
「そんなことはないわよ。だって後で思い出した時には凄く大事だったりしたこと私はあったから。」
「うーん、そういわれたら、なんで忘れてたんだよー。っていうことは俺にもあったな。うんうん。」
ミッキーが口を挟んだ。そして、五年生達は僕達六年を見つめた。
「確かに、大事なこともふと忘れてしまうことはある。別に忘れてしまっても問題ないような時もある。なぜ忘れてしまうんだろうか?厳密に言うと、覚えていられないってことだと僕は思うんだ。」
「ガリレオンは難しく考えてすぎ。俺が思うに、それは、記憶喪失だ!」
柴崎コウタは馬鹿げたことを堂々と言い放った。それに真矢ミキオが調子にのって、
「柴崎くん俺もそう思うって!そっかー記憶喪失って考えれば納得いくよな。な!」
記憶喪失、時にはショックを与えることで失った記憶が戻ることもあるという。しかし、まったく戻らずに、記憶を失ったそこから新たに記憶をスタートさせることが多いとも聞く。それが、物忘れと繋がるのか?いや、待てよ、繋がるかもしれい!!
「安易な答えかも知れないけれど、柴崎君の着目点には興味があるわ。」
まるで論文を発表するかのような言い方だが、福山マサコの顔はちょっと笑っていたのを、僕は見逃さなかった。小さなことを見逃しては、正しい答えには辿り着かないからさ。なんてね。
「そうだね、じゃ、品川先生、第一回目の答え探しは、物忘れでいいですか?」
「うん、いいじゃんか面白そうだよ。」
こんな顧問でいいのか?みんなが一瞬、同じことを思っていたのは言うまでもないか。

まず数点の項目があがった。それは、なぜ物忘れをするのか。何故、あとで思い出したりするのか。それは本当に記憶喪失なのか。だ。
なぜ物忘れをするかについては、すぐに皆の意見が出揃い、つまり、物忘れする時は、何かと同時進行している時が多いこと。それから、あとで思い出すことについても、割と早くに意見が出揃った。それは、同じ行動をとってみると、比較的、「あ!」って思いだせるっていうことだ。あとは最終の謎、それは「記憶喪失」なのか!ということに迫るだけだった。

「あ、あの、あの・・・・」
「内海、何?」
「えっと、わ、私、物を忘れる、ってことは、や、やっぱり、一瞬でも記憶を失ってるんだから、記憶喪失だって、そ、思うのだけど。」
「確かに!内海先輩の言う通りよ。」
「ヒガシはさっきから、全然自分の意見言わないでさ、適当なんだよ!」
「うっさいわね!そう思ったんだからいいじゃん、だまれミッキーぃ。」
「あ、あ、あの、鵜川君の意見も聞きたい・・・です。」
「あぁ 僕も内海さんが言ったことを考えてた。」
そのあと僕は黙ってしまった。だが頭の中には色々な展開が引き起こされていた。物忘れとは、記憶喪失というのはあながち間違ってはいない。うーん、これは実に面白い。


コメント: 物忘れ、ありますよネェ。実際にまったく思い出さなくって、何を忘れたかも覚えていなくなってしまうってこともあるでしょー?(笑) それって・・・・・・ね?


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あきゅろす。
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