たまごなおはなし
俺は正義のヒーロー かさぶたん
よおぉ 久しぶりじゃねーか。元気してたのかよお前。
何だよ、何だよー。ちょっと会わねぇうちに、大人になってんじゃん。
なのに俺の登場かい？
仕方ねぇな。俺を必要としてんだかんな。よし、見せてみろ。
なんだよ、これしきのことで半泣きか？昔はあんなにやんちゃ娘だったのによ。情けネェな。
就職して初めてのパンプスに慣れてなくてずっごけたの。
パンストは破れてるし、バックはあっちまで飛んでいって、初出勤なのにどうしよう。もう、道端で泣いてもいい？
待て待て、泣いてる暇があったら、ほら、ティッシュで汚れ落として血を拭いてみな。俺が魔法をかけてやるから。さてと、さくさくっと魔法かけるぞー。
ズキズキしてた擦り傷なのに遅刻しそうだったからそれに構わず、猛ダッシュで会社のビルに飛び込んだあの子。すっかりキレイな女性になったな。
子供の頃のあの子に、俺は何度となく付き合ったもんだ。そして数日をともにして、お風呂でふやけて洗い流されたんだよな。何度もさ。
あ、俺？ 誰だかわかんない？
おおー、これは申し訳なかったな。ここいらで自己紹介しとくぜ。
俺は、全世界の子供の見方、白血球ともいうがな、新の姿は・・・
お前達の傷を治すためだけに存在する、
そう、 俺はカサブタ。
人呼んで「正義のヒーロー かさぶたん。」
以後、お見知りおきを。
じゃ、次のヤツのケガに魔法をかけに俺は行くとするかな。
早く魔法かけてやんねーとさ、化膿すっからよ、急がねぇとな。
俺はよ、必要な時は呼ばれなくても、必ず現れてお前らの味方になってやる。
だって俺は 正義のヒーロー 「かさぶたん」だからな。
待ってろよ！今すぐ駆けつけるぜ！
泣いてる暇があったらツバつけて初期消毒でもしときな。
バンドエイドはまだ後だってば！ 俺が間に合わない時だけにしろってーの。
2009/3/13 作
コメント： 大人のみなさんならお解かりのことと思いますがぁぁ、
「かさぶたん」の元は、そうです、あなたの体に流れる白血球。
傷口に直ちに急行し、ばい菌とそれはそれは壮絶な戦いをするのです。そして、空気に触れることによって、白血球がバリアーを張ってくれている部分が「カサブタ」となるのですよねぇ。
そして、傷口を覆うカサブタの下で皮膚が再生されると、傷口を守ってきた「カサブタ」は役目を終えるのです。
今現在、母ちゃんの膝で、「かさぶたん」は活躍中でございますわよ。
みなさんは子供の頃、何度出会いましたか？
「正義のヒーロー かさぶたん」に！
ちょっとくらいケガもしなけりゃ、危険回避の術は巧くなりませんぞ。
大怪我でなけりゃ、ケガの初期治療も子供にちゃんと教えときましょうぜ！
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