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たまごなおはなし
梅雨のカケラ
鼻の先がツンとする。
緑の風が夏を底まで運んできているから。
その風の中に、ひと粒の涙を一緒に連れてきていた。


少ししょっぱい涙は、頬をつたうことも、拭うこともないまま風が乾かす。

「なんだ、私ってば、そんなにアイツのこと好きじゃなかったんだ。」
強がり。ただ、誰にも見られたくないから、瞳の奥に順番待ちしている涙たちを必死で止めているだけなんだけどね、コレが今の精一杯なの。

大好きだったんだもん。
ずっと想っていた気持ち、ずっと温めてたこの気持ちを、まさか一瞬で壊れてしまうなんて思ってなかったから。私の好きは、アイツに好きな人がいたから、受け取ってもらえなかっただけの片想い。

なんとなく、なんとなく分かってた。
アイツがいつも、私じゃない女の子を探してることくらい。だって、ずっと見てたもの。それくらい分かってた。だけど、やっぱり辛いなぁ。


こんな爽やかな皐月の空を見上げて、鼻の先がツンとして、雨の気配を待っている。
夏の前の雨降る季節を待っている。
毎日降る雨に隠れて、瞳の奥で待機している涙をいっぱい流して消してやる。

だって、ギッラギラに輝く夏の太陽に負けないように、
キッラキラの笑顔で、次の恋を待ち伏せしたいんだもん。

だから私の中の梅雨の欠片よ、過ぎ去る恋と一緒に、早く夏を連れて来い。


2009/4/30  作


コメント: 夏の前に失恋しちゃってるけど、夏がまた来いを運んできますてば♪
ま、なんだ、涙は、雨と一緒に、どっかへ流しちぇー。ですわ。


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あきゅろす。
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