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たまごなおはなし
結婚物語  その弐
離婚して二年、もう女は俺の人生にはいらないと思ってた。面倒だし、疲れるし。そう思ってた時に、後輩から合コンに誘われ、何故かあの日の俺は断らず参加したんだ。
どの子を見ても同じ髪型で同じ化粧。俺には違いが分からない。なのに、一番端に座る彼女だけは違って見えて、無色の着飾っていない爪に気をとられ話しかけてみたんだ。
「手、荒れてるね。仕事しながら家事でもしてんの?」
俺は失礼なほどふざけたものの言い方をした。言い訳するようだけど、あの時すでに俺は酔っていたんだ。なのに、彼女はにこりと微笑んで、
「ええ、親の介護しながらなんで、手入れをする暇がなくて、こんなに荒れちゃった。」
でも、俺は綺麗だと思ったんだ。その荒れた両手が綺麗に見えた。それから彼女と連絡をとり合うようになって付き合い始めたんだけど、付き合って2年も過ぎていたのに、俺は無意識に結婚の言葉をさけていたんだ。彼女がもう、いい年をしていることに気がつかない振りをしてた。

ある日、二人で晩飯を食べている時に彼女が言ったんだ。テレビに映る大家族の映像を優しい眼差しで観ながら、お茶を一口飲んでから、
「私は、あなたの家族にはなれないの?」
俺は固まった。何て言葉を返せばいいのか分からなかった。そしたら、彼女は、私は何も言ってませんよ。みたいな顔をして、
「今度、映画行こうか。私、観たいのがあるの。」
話題を変えたんだ。いや、俺の表情が彼女の言葉を途切れさせたんだ。俺は、一度失敗してる。だから、正直言えば怖かったのかもしれない。また裏切られるかもしれないって。彼女は、アイツとは違う人間だって頭では分かっていたのに。

あの日の言葉を途切れさせてから、彼女はもう何も言わなかった。それがとても苦しかったんだ。ずっと一緒にいたい気持ちと、結婚したら彼女は変わるんじゃないかとか、今思えばバカなことばかり考えて一人で不安を作ってた。結婚という型式にこだわる必要なんかどこにあるんだろうか。今のこの距離じゃ満足できないのか。そんなことばかり考えてたんだ。



2008/12/2 作

では、次の3話目へどーぞ。

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