テニスの王子様
売約済
梅雨も明け、カラリとした天気が続き、暦の上でも夏が訪れていた。
バリバリとカレンダーをめくると、今日から7月となっていた。
もうすぐ夏休みかと思うと、香澄の気分も向上していく。
昼休みに入り、何の気なしに廊下や教室に視線を泳がせた香澄は、自分以外の生徒が浮き足立っている光景を見ていた。
耳をすませば、“今日の放課後”とか“夜に”とか“部活で”とか“誰を誘うか”とか……。
「今日って何かあるの?」
「あぁ…、花火大会があるんだよね。」
「へぇ…。」
話を振ったものの、香澄は面倒臭そうに廊下を見やった。
「秋山は行かないの?」
「お祭り、ねぇ……。私、人混み嫌いなんだよね。」
「ふーん…。」
心なしか、越前の顔が曇る。
お祭りに行こうと誘おうとした手前、こう切り出されると二の句が継げなくなってしまい若干焦っていた。
「だってさ、もみくちゃにされるでしょ?浴衣着ても人混みの終わりに着く頃はボロボロなんだもん。」
「そこまで酷いことにはならないけど…。」
「そうかなぁ…。でもりんご飴は食べたいんだよね…。」
「じゃあ俺と行こうよ。」
「へ?」
「俺、人混みの中でも秋山にヒトがぶつからないようにできるし。」
「ホント?!それなら行きたい!越前君、連れてって!」
「あぁ、いいよ。」
越前は内心ガッツポーズをとって喜んでいた…。
その後、香澄は下校時に廊下や校庭などで様々なヒト達に呼び止められ「一緒に祭に行かないか」と誘われていた。
しかし、香澄の返事は一様に決められており誘いに乗ることはなかった。
「私、今日は越前君とお祭りに行くんだ。だから、ごめんなさい。」
香澄が断ったヒトの中にはテニス部レギュラーも混ざっていたとかいないとか……。
______________ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
あとがき
お祭りシーズンなので乗っかってみました。
香澄さんは、一番始めの約束を守ります。
早い者勝ちです(笑)
今回はリョマが制しました。
2009*7*10
[*前へ][次へ#]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!