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テニスの王子様
紳士な眼鏡


ワカメとの一悶着が終わったあと。

私は桜と少しの間呆然としていた。

「一体何の騒ぎですか?」

どこから出てきたのか、眼鏡をかけた物腰の柔らかい人が話しかけてきた。確か…。

「柳生先輩…。」

桜は少し安心したような表情で柳生比呂士を見ていた。そうだ、確か元ゴルフ部とか言う紳士だ。

そんなことよりも、桜が少し震えてる。…まぁ、怖い想いさせちゃったし…。

「桜、ごめんね…。」

「ううん、香澄が無事でよかった。」

ほんわか雰囲気を纏って桜が笑う。
それにつられて私も笑えば桜の肩の力が抜けるのが解った。

二人で笑ったあと、地面に置きっぱなしのドリンクの籠を持った。

…はずだった。
不意に軽くなる右腕。
そちらを見やれば、紳士が軽々とドリンクの籠を持ってすたすたとコートへ向かって行く途中だった。

「あ…、あの!」

咄嗟に声を掛けた。
紳士は優雅に振り向いた。

「どうしましたか?」

度がキツイのか逆光のせいなのか、紳士の目は見えず表情が読みにくい。

「いえ、あの…、それ、私が持ちますから…。」

指したのはドリンクの籠。
紳士は口元を少し持ち上げて言った。

「女性にこんな重いものを持たせる訳にはいきませんよ。」

晴天の霹靂(へきれき)。
今までこんな風に扱われたことがなかったから、驚いた。(むしろ私が他の子にすることだった。)
それと同時に気恥ずかしくて居たたまれなくなった。

「私よりも桜を…。」

ようやく勇気を振り絞って言ったけどきっと私は真っ赤になってる。声が震える。

「大丈夫ですよ。春日さんの分はジャッカル君が持ってますから。」

やんわりと断られた。確かに桜は手ぶらになっていた。
桜の横には籠を携えた桑原先輩と(何故か)ワカメを抱えるおっさんが並んで歩いていた…。
ちらっと紳士を見やれば、涼しい顔をしてドリンクを運んでいる。…私は、ひねくれているから、こういう厚意を上手く受け取れない。何か裏があるのでは、と勘繰ってしまう。

「桜のところに行かないんですか?」

そう、それに、紳士は桜ではなく私の隣で歩いている。普通、部員ってマネを助けるもんじゃない?

「貴女は彼女の友達で、彼女を手伝っていたんですよね?それなら私が貴女を手伝うのは当然です。」

「し…、先輩は桜が好きってことですか?」

紳士は黙ったようだった。
当たり、か。
いつもそう。
私は桜の引き立て役。私をダシにして近づこうとする人は多い。
だから、正直この人もそうだと思った。

「確かに私は彼女が好きですが、それは彼女がきちんと仕事をして下さるからですよ。」

驚いた。そんな風に言う人は初めてだったから…。
桜は半端なく可愛いしと言うか綺麗だし、むしろ万人に好かれる。
“好き”には違いないが紳士にとっては違う意味合いらしい。
逆にちょっと心配になる。
桜にそういう感情を持たない彼に。

「…先輩って、変わってますね。」

「それは初めて言われました。」

ちょっと気持ちがほんわかした。





______________ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

あとがき


柳生さんを出しました(o^v^o)

本編の柳生さんははねうさぎの妄想です(笑)
紳士だから女性に一線引いてるイメージです。学プリやドキサバではそんなことなかったですけどね(笑)

次回はどうしましょう?
一番最後はブン太さんて決めてるんですけどね(^-^;)ブン太さんファンの方すみません(o_ _)o今しばらくお待ちを。


2009*4*9修正
2011.01.27修正

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あきゅろす。
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