テニスの王子様
桜のお願い 私のお願い
もうすぐゴールデンウィーク。
うちのカフェは若者向けでは無いので長期休みは関係無い。
来るのは常連さん達だ。
要するに、休みは無い。
休みの日もお店。
朝から晩まで手伝いに明け暮れるのは嫌いじゃ無い。
先人の知恵を得たり、また新しいメニューを考えたり、暇が無いくらい。
手伝いをする上で興味は尽きない。
早く休みになればいいと思っていた矢先だった。
「香澄〜〜!助けて!」
「わっ、な、何?どうしたの?桜。」
ゴールデンウィークを2日後に控えた日、悲壮な顔をした桜が私に泣きついてきた。
「ゴールデンウィークに合宿するんだって!どうしよう!私ご飯作れないよ!皆何か楽しみにしてて言い出せ無くなっちゃったの!!」
「あ〜。そういうこと…。」
桜は他の洗濯とか食器洗いとかは出来るけど、いかんせん料理だけは出来ないのだ。
何というか…独創的?
小学校の頃の調理実習は軽くトラウマになるくらいだったっけ…。
「…え〜と、私も合宿に着いて来いって…こと、かな?」
「駄目?私、頼れるの香澄しかいないのよ〜(>_<)私の料理音痴知ってるの香澄だけだし…。」
桜にお願いされて私が断れる筈も無く…。
「…解った…。」
詳しい日程を訊いて私は来(きた)る合宿に備えて色々と準備をした。
そして、合宿当日。
何でも、氷帝・青学・六角・山吹・黒峰・ルドルフとか言う他校も交えての合宿になるらしい。
宿泊先は氷帝にバカみたいな金持ちがいるらしく、そのボンボンの別荘を借りて行うと言うことだった。
「…眠い…。」
何時もより若干寝付きが悪かったためか、頭がすっきりしない。
休みの日だって今日より早く起きて仕込みとか掃除とかするのに、今日からの桜の苦労を考えたら胃がキリキリとしていた。
桜は超絶美少女だから他校の生徒が寄って来ないとも限らない。
桜に悪い虫がつかないようにしないと…。
まぁ、私が絶対に護るけどね!
しばらくして、ちらほらと部員達が集合場所に集まってきた。
「む、秋山か。早いな。」
「あ、真田先輩おはようございます。今日からよろしくお願いします。」
「ああ、こちらこそ頼む。」
「おはようございます、秋山さん。」
「はよ。お前早いな。」
「柳生先輩にジャッカル先輩も早いですね。おはようございます。」
「そういえば、桜が来てないな。」
「あ、柳先輩、おはようございます。桜はあと5分くらいで来ますよ(^^)電話したんで。女の子は色々時間が掛かるんです。」
「お前も女だろぃ!」
「おはようございます、丸井先輩。私はホラ、機能性重視なんで支度が早く終わるんですよ。ひゃわぁ!!?」
急に背中をツツー、と縦一直線に触れられた。
「確かに、まだ成長しとらんみたいじゃな。ホックに引っかからん。」
「詐欺っ…、いやいや、仁王先輩、それセクハラです。」
詐欺師はニヤニヤと笑って私を見下ろしている。
スポーツブラ愛用で何が悪いってのよ!
「おはようございま〜す!」
険悪ムードの中、桜の明るい声で癒された。
いいや。
セクハラ詐欺師は放っておこう。
大事なのは桜だからね。
「桜おはよう!」
「香澄おはよう。今日からよろしくね(^^)」
「うん!桜のサポートばっちり請け負うからね!」
和(なご)やかな雰囲気で、あとは送迎バスを待つばかり……。
の、筈だった。
バスが到着してもやって来ない部員が約一名。
あのワカメ…。
今日に限ってってことではないが、またしても遅刻か…。
もういっそのこと置いてきぼりにすればいいのに…。
結局、ワカメは柳先輩の電話で起きたらしく、20分程遅刻して真田先輩に鉄拳を食らっていた。
その後バスに乗り込みゆらゆらと揺られながら目的地へと向かった。
あ、駄目。
この適度な振動…。
「桜…。」
「ん?どしたの、香澄?眠くなっちゃった?」
「うん…、着いたら起こして…。」
睡魔に負けた私は、桜の肩に頭を預け、しばしの休息に身を任せた。
これから、戦争のような合宿になるだろうことを予想して…。
______________ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
あとがき
合宿編スタートします(≧▽≦)/
あちこちと絡めていきます!
車の振動って眠くならないですか?
はねうさぎは赤ちゃんの頃、ゆりかご代わりに車に乗せられてたそうです(笑)
2009*2*17
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