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テニスの王子様
メール交換


「ふぁ〜〜、疲れた〜。」

片付けが終わった時には既に19時を回っていた。
くたくたになった身体を自分の部屋のラグの上に横たえた。
ちょっとロフトベッドの上まで行くだけの気力も体力も無い。

ふと目についたカバンの中で、光が明滅している。

「あ、そうか、マナーにしてたから気付かなかった…。」

放り出した鞄に手を伸ばし、鞄の中を探り携帯を引っ張り出した。
新着メールが3件。
単なるダイレクトメールに混じって見知らぬメールが1件。
カーソルを合わせてクリックすれば、見覚えのある名前が出てきた。


件名:越前です。
――――――――――
今日はお疲れ様。
今度、青学にも来て
よね。
待ってるから。



「…うーん…。」

何だか、俺様な感じが跡部さんと通じるものがあるよね。
越前君と接したのは帰り際だけだったんだけど…、何かあの口振りだと気に入られたっぽいよね…?


件名:秋山です
――――――――――
越前君もお疲れ様。
メールありがとう。
時間があれば寄って
みるね(笑)
そいえば、あのあと
走って帰って大丈夫
だった?



ぐたりと身体を横たえながら送信ボタンを押した。
余り間を置かずに越前君から返信が来た。


件名:Re:
――――――――――
(笑)って何。
まぁいいけど。
走って帰る分には、
全然問題無いけどさ
少しでも遅いと更に
グラウンド走らされ
るんだ。
俺は間に合ったよ。
あと越前君禁止。
リョーマって呼んで
よね。
俺も香澄先輩って
呼ぶから。



ほぼ初対面で名前呼びかぁ…。
でも、ま、越、いや、リョーマ君は年下だしいいか。
そのあと数回メール交換をして私はお風呂に入った後、深い眠りについた。










日付が変わって月曜日。
またテニス部と関わる日々が始まった。
クラスメイトである分には構わないけどね。
鳳君、いい人だし優しいし…。

「おはよう、秋山さん。」

「あ、おはよう、鳳君。今日って筋トレと基礎練でレギュラーはメンテでしょ?」

「メンテって…?」

「あれ?メンテナンスでしょ?専属トレーナーの身体検査。」

「俺達機械じゃないからね…(汗)」

「うーん…、別に悪意や他意がある訳じゃ無いんだけどね。だって長いんだもん。状態を維持・管理するって点で一緒だしいいかなって…。」

「まぁ、それもそうか。」

何だかんだで和(なご)やかな雰囲気になれるのは鳳君と話しているからだと思う。
その時、制服のポケットに入れていた携帯のバイブレーションが鳴った。

「…誰だろ…、こんな時間に…。」


件名:おはよう
――――――――――
今日乾先輩が新しい
汁考えるらしいんだ
けど…。
香澄先輩、来る?
ていうか来て。
乾先輩だけに任せた
ら得体のしれない物
が出来る…。



ぅわ。
コレ、要するに助けてメール?
私に何が出来るって言うんだろう…。

「どうしたの?」

動揺した私を見て鳳君が心配そうに覗き込む。

「う…ん、リョーマ君が、今日青学に来てくれって…。」

「…はい?」

「乾先輩がまた何か作るみたい…。」

「いや、そこじゃ無くて…、リョーマって…青学の越前君のこと?」

「え…?う、うん。」

「ちょ、いつアド交換したの?しかも名前呼び…?!」

「あ、昨日、帰り際に…。その後リョーマ君からメール来て成り行きで…?」

「ふーん…。そう…。」

険しい表情をして鳳君が何処かを睨み付けている。
てか、何か薄ら寒い空気が流れてるんだけど…。
そして、鳳君?
何か怖いくらい綺麗な笑顔だよ?
その笑顔、非常に嫌な予感がしてるんですけど?!

「香澄さん。」

「ぅはい!…って、え?今…?!」

「俺も名前で呼んで良いよね?俺のことも名前で良いし。それと、アドレス交換しようか?」

何故だろう。
疑問系で訊かれているはずなのに、この有無を言わせ無い雰囲気は…。

「う…ん、いいけど…。」

鳳君、もとい、長太郎君とアド交換を終えた頃、丁度授業開始の鐘が鳴り、何となく気まずい雰囲気から一時的に解放された。





放課後。

「香澄さん、行くの?」

声を掛けてきたのは長太郎君だった。

「うん、流石に乾汁を再現しようとはしないけど、皆の疲労回復に役立ちそうだからレシピ見てこようと思って…。」

「そう…。気をつけて。」

長太郎君はそれだけ言って部活に向かった。
何となく、含みのあるような言い方だった気が…?

「っと、バス行っちゃう!」

余り深く考える暇も無く、私は鞄を持ってバス停へと急いだ。





______________ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

あとがき

ヒロインちゃんのお出かけ。
続編へ(笑)

2009*2*6

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あきゅろす。
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