テニスの王子様
水面下
「コレでしょ?」
「うん!それ!秋山さん凄いね!」
翌日の昼休み。
香澄は昨日の自己紹介で趣味・特技にパソコンと手品と言っていた。
外部からの新入生である香澄を受け入れるきっかけとしてクラス委員が話を振ったのだった。
手始めにカードを使ったマジックが行われた。
定番の選んだカードを当てるものから始まり、コインや紙を使って消えたり出てきたり…。
いつの間にか教室にいたクラスメイトはもちろん、何の騒ぎかと廊下にいた生徒達も覗き込む。
テレビで見るような鳩や動物が飛び出す訳では無いが、鮮やかな手つきと楽しそうな香澄にそこにいる全員が引き込まれた。
「委員長、ご観覧・ご協力感謝♪そんな委員長にお礼ね(^^)」
そう言って香澄はハンカチを取り出し、委員長の手に被せた。
「委員長、手、ギュッと握ってて。」
組み合わされた委員長の手をハンカチの上から更に香澄が包み込むように握る。
「委員長が幸せになれますように!」
パッとハンカチを取るが委員長の手が握られているだけだ。
何も起きていないことに周囲がざわつく。
「焦らないで大丈夫。幸せは掴んだら離しちゃ駄目でしょ?そーっと開いて確認してみて?」
不思議そうに委員長が手を開いた。
掌の中には四葉のクローバー。
次の瞬間、周りから温かい拍手が起こった。
「あの子凄いにゃ〜!」
「へぇ…。」
廊下で見ていた2人分の視線。
香澄はそれに気付きもしなかった。
______________ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
2009*1*1
[*前へ][次へ#]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!