テニスの王子様
どうして今日は
けたたましい目覚まし時計を探りながらカチリ、と止めた。
数分うだうだした後、のそり、と身体を起こすのが私の起き方。
ぼんやりとした頭のままロフトベッドを降り、カーテンを開いた。
憎らしいまでの青空。
今日は日曜日。
世間一般では休日だ。
だけど、私には休む暇さえ無い。
それもこれも、無理矢理入部させられた男子テニス部のせいだ。
休日なのに練習試合が毎週の様に入ってるって…。
テニスバカばっか!
「行きたく無いなぁ…。」
そう言いながらも時間は刻一刻と迫るので、仕方無しにジャージに着替えた。
「お母さん、行ってきます。」
「あら、今日も学校?気をつけてね?…って、いつも思うけど、重装備ね…。」
「“重装備”は言い過ぎ。長袖ジャージに帽子被ってるだけでしょ?それに日焼け止め塗ってるもん。」
昔、無防備に外をタンクトップで走り回ってがっつり日焼けして酷い目に遭ってから、肌を焼かないように気をつけている。
確かに端から見たら怪しいヒトだけど…。
痛いのより暑い方がまだまし!!
「もう行かなきゃ!」
出発予定時間が迫り、私は慌ててバスへと急いだ。
「―――今日の最高気温は28℃…」
ニュースキャスターが告げる予報は私の耳には届かなかった。
只今、午前7時。
部員はまだ来ていない。
練習試合は9時からの予定だ。
それまでにコート整備にタオルとドリンクの準備、スコアブックも用意して…。
何せやることは山積みだ。
救急箱の物品補充も必須だし。
暑くなりそうだから氷や水も予め用意しておかないと…。
黙々と作業をこなしていく。
結構一人で居るのは苦痛じゃない。
時間を忘れて作業に没頭出来るのがいい。
まぁ、今日は“2時間”という制限があるけど…。
「…っ、ふ…、終わったぁ…っ。」
ガシャッとボール籠をコート脇に設置し、予定していた作業を終えた。
部員もちらほらと登校し、各々練習を始めている。
時計の針は9:48を指していた。
「おはよーございます。」
すれ違う部員に挨拶をしながら校門へ向かった。
「おい、秋山、何処に行くつもりだ。」
背後から掛かった声は跡部さんだった。
「…ゲストの出迎えをしようかと…。そういえば、今日の対戦校って何処ですか?」
「今日は青学とだ。迎えは俺様も行く。」
不本意ながら、私は跡部さんと校門まで行くことになった…。
校門に着いて間もなく1台のバスが到着した。
バスから初めに降りて来たのは眼鏡を掛けた落ち着いた感じの男のヒトだった。
顧問の先生かな?
「よう、手塚。今日はコンディション整えて来てるんだろうな、アーン?」
「跡部か。今日は練習試合を受けてもらって感謝している。」
………。
あれ?
この人、先生じゃ無いのかな?
跡部さんがタメ口訊いてるし…。
私はもう少し様子を伺うことにした。
バスからは次々と白と青のジャージを纏ったヒト達が降りて来た。
見た感じは曲者揃いと言ったところか?
身長は大概大きいけど、中には他のヒトより頭1〜2個分小さいヒトもいた。
その中に見覚えのある顔。
「桃城君?」
「え…、秋山か?!」
昨日振りの再会だ。
「何で秋山がここに居るんだ?確かテニスはしないんだよな?」
「あー、うん。出来れば関わりたくないんだけどね…。桃城君こそ、レギュラーなんだ?」
「おう!青学のレギュラーでいるのは大変なんだぜ?」
「…ふーん。」
「おま、何だよその気の無い反応はよ…。」
「昨日も言ったけどね、私運動音痴だよ?スポーツ一般に興味なんか無いよ。」
「…で?マネな訳?」
「無理矢理ね。」
「桃〜!夫婦漫才はその辺にしてその子紹介しろ〜!」
突如桃城君の背後から出てきた猫目にほっぺた絆創膏のヒト。
見た感じはネコそのもの。
「いや、俺も名前しか…。」
「…おい、秋山。俺様を無視するとは良い度胸だ…。」
あ〜。
跡部さん怒ってるよ…。
そんなに茅の外なのが嫌なんだ…。
…子ども…。
いや、中学生はガキだけどさ…、跡部さんって大人っぽいからさ、つい…ねぇ?
「何だよ?」
「何でも無いです。あ、青学の皆様初めまして。氷帝学園2年、テニス部マネージャーの秋山香澄です。今日はよろしくお願いします。」
「部長の手塚だ。よろしく頼む。」
ほあっ!!
ぶ…、部長さんだったのか…!
よ、良かった〜。変に「先生ですか?」なんて訊かなくて!!
「よ、よろしくお願いします!」
余計な事を口走らないよう勢いよく頭を下げた。
「まぁいい。さっさと始めるぞ。」
心なしか跡部さんの機嫌が悪いように感じた。
______________ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
あとがき
せっかく他校と接触なのに…(ToT)
まだ全然出てきてないですね…(-_-;)
頑張って更新します!
2008*12*15
2012.04.27修正
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