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テニスの王子様
新しい友達と


今日は土曜日。

テニス部はオフです。
まだ大会近くはないのでオフです。
誰が何と言おうともオフです!





久々の休みだ。
俺様跡部先輩に無理矢理マネにさせられて初めての休み。

正直、何か予定とか言って呼び出しくらうかと思ってたけど…。

よく考えたら、私誰とも連絡先交換してないや。


つまり…。


今日は心置き無く遊べる!!



「スイレン〜vVV」

お忘れの方も多いかと思われます。
私、北海道から引越して来る時に愛兎・スイレンを連れてきていますよ!


「ごめんね、スイレン。毎日お散歩行けなくて。」

ゲージからぴょこぴょこと出てきたスイレンをギュッと抱きしめた。

あぁ、落ち着く…。

ほわほわホカホカのスイレンの身体は何時まで抱っこしてても飽きません!


幸い、梅雨もあけて今日は良い天気だ。

「今日こそ思いっきりお散歩しようね!」

スイレンにリード付きのチョッキを着せて自転車の籠に乗せ、私は勢いよく自転車をこぎ出した。





「ん〜!!やっぱり気持ち良い!!」

辿り着いた公園でひとつ伸びをして私はスイレンを散歩させた。

スイレンは初めての場所に戸惑いながらぴょこぴょこと道を進む。

私はスイレンの行きたいように進んで行く。
明らかに危ないところには行かせないけど、基本は好きに動かせる。

いつも狭いゲージの中で我慢してくれているから、その憂さ晴らしも兼ねて。


「ほあら〜。」


不思議な鳴き声が聞こえてきた。

…何?

がさがさと茂みから出てきたのはふくよかな猫。
…ヒマラヤン?

「ほあら〜。」

不思議な鳴き声の正体はこの猫らしい。

その猫はこちらを一瞥した後、興味無さげに私達の前を横切って行った。

本当に不思議な猫。
人間くさいと言うか…。

ちょっと停止していたスイレンも再び動き出した。





ある場所を横切ろうとした時だった。

パコーン
パコーン

何だか最近よく耳にする音が上から聞こえてきた。
嫌な予感。

だけど、そんな私の焦りを他所(よそ)にスイレンは階段をピョンピョンと跳び登って行く。

スイレン…、高いところ好きだからなぁ…(泣)

一番上まで登ると案の定テニスコートが一面あった。

幸い知らないヒト達ばかりだ。
どうやらダブルスをしているみたい。


「こんにちは。見かけないわね?ここは初めて?」

不意に話しかけてきたのはセミロングの可愛い女の子だ。

「私、橘杏。不動峰中の2年、よろしくね。」

「あ、じゃあ学年一緒だ。私秋山香澄です。氷帝2年なの。」

「そうなんだ!氷帝ってことはテニス部?」

「や…、やってはない…よ?有名らしいけどあんまり興味無いってのが本音なの。」

「そうなの?私はプレーヤーとしてテニスしてるんだ。香澄ちゃんはテニスするの?」

「全然。私運動苦手なの。今日みたいに天気がいいときにスイレンと散歩するくらい。」

「スイレン…?」

「あ、この子。」

ひょい、とスイレンを抱き上げた。

「わ…可愛い!何?!」

「ウサギだよ〜。ロップイヤーって言ってね、ほら、耳が垂れてるでしょ?」

「ホントだ〜!ウサギなんだ〜!」


ちょっと和んだ。
やっぱり女の子同士だと可愛いモノが共通になるから話も広がるし。
別の学校の子だから尚更なんだろうな。
同じ学校だと私の境遇とか状況とか知られてて話したくても話せないから…。



「杏ちゃんはテニス好きなの?」

「そうね。お兄ちゃんもやってるし、楽しいわよ。」

「お兄ちゃんいるんだ、いいなぁ!私一人っ子だもん。」

「そうかな?まぁ、優しいしテニス強いし、自慢の兄ではあるけどね〜。」

「お、橘妹じゃん。」

杏ちゃんと話していると、短髪の男の子が寄ってきた。
ガタイ良いなぁ。
宍戸先輩くらいあるかな?

なんて考えてると、短髪君は杏ちゃんの隣にいる私にようやく気付いたようだった。

「あれ?橘妹、妹いたのか?」

それは、アレですか?


初対面のアンタも私がチビだと言いたいのかぁぁぁっ!!?

「桃城君、この子は秋山香澄ちゃん、私達と同じ2年だよ…。」

「あ、そうなのか?悪ぃな!えっと、秋山?」

何で今訊いた名前を疑問系で言うのよ…。

「何?」

「いや、お前もテニスするのか?」

「…しないよ?」

「何だ、橘妹と一緒だからダブルス組むのかと思ったのによ。」

「あっはっは!無理無理!私運動音痴だもん。」

ふて腐れた桃城君は大きな身体なのに可愛く見えた。
や、見た目はまぁ、かっこいいし、逞しくてどこからどう見ても「男」なんだけど、ね?

「私はいいから打ってくれば?…二人で。」
「「え?!」」



何驚いてるんだろ?

「だって、二人は付き合ってるんでしょ?」
「なっ…!!」
「…っ!」

あれ?
盛大に間違えたかな…?
二人の仕草とか、ちょっとした会話の内容とかそれっぽかったんだけどね…。
でも、二人とも満更でも無さそう。

「じゃ、お邪魔虫は退散するね〜♪」

「ちょ、香澄ちゃん!」

杏ちゃん顔真っ赤。
可愛いなぁ。

「杏ちゃん携帯ある?」

「え?あるけど…。」

私は赤外線通信でアド交換してから、ギクシャクしちゃった二人を置いてその場を後にした。

いつの間にかスイレンは眠っていて、私はスイレンを抱っこして自転車を押しながら帰途についた。



今日は新しい友達が出来ていい日だったなぁ。

明日は日曜日だけど…。
確か外部との練習試合とか何とか言ってたなぁ…。

…出ないと駄目かなぁ…。
せっかく浮上した気持ちが一気にドン底まで落ちた気分…。

私のどんよりオーラに気付いたスイレンは、慰めるように私の手を舐めた。

それが嬉しくてまたスイレンをギュッと抱きしめた。



明日、槍でも降れば中止になるかな…。

なんて、ちょっと現実逃避しながらまだ陽の高い空を仰いだ。





______________ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

あとがき

ヒロインちゃんの休日風景でした(^^)

そして、杏ちゃんと桃ちゃん登場です(≧▽≦)/
この二人のやりとりが好きです(*^^*)

久々更新ばかりですみません(o_ _)o


2008*11*27
2009*3*16修正

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あきゅろす。
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