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テニスの王子様
ヘタレが告白しました


赤っ恥を曝(さら)してから2日ほど経って、仁王は学校にやって来た。どうやら私がお見舞いに行ったことは知っているらしいが、そこで何があったのかまでは知らないらしい。
「稔治に訊いても何があったか教えてくれん」ってメールで愚痴ってた。私としても知られたくないので稔治君にしゃべらないよう頑張ってとエールを送るしかない。

「ずるいなり。」

「何が?」

昼休みに屋上に呼び出され、屋上のドアを開けた途端、仁王に「ずるい」と言われた。一体何なのだ。

「香澄ちゃん、あの時のことで稔治と秘密があるじゃろ…。」

「…知らない方がいいこともあるんだけど。」

「なんでじゃ?!俺は…!!」

「あのさ、仁王。私、仁王に何でも話さなきゃならないの?私達そんな関係じゃないでしょ?」

そう言うと、仁王はショックを受けたような表情(かお)で、私を見た。
態度ではうすうす感じている。仁王は私が好きなんじゃないかって。だけど、それが“Like”なのか“Love”なのかは怪しい所がある。だから私は確信が持てるまでそういう態度は努めて取らないようにしていた。仁王にハマって、傷つくのは私なんだから。
しばらくの沈黙の後、口を開いたのは仁王だった。

「のぅ…。」

「なに?」

「いや、その、な。」

仁王は俯いて手を組んで何やら言おうとしているのだが、一向に言葉が出てこない。

「…話が無いなら行くけど…?」

「いや!話はあるんじゃ!」

溜息が出た。私、仁王と関わるようになって何回何十回何百回溜息吐(つ)いたんだろう。

「じゃあどうぞ。」

折角最近はきはきとモノを言えるようになったと思ったのだが、ヘタレはどんなに頑張ったところでヘタレか。まぁ、いきなり自分を変えるなんてできないものだけどね。
でも、その仁王が何かを伝えようとしている。私は、それを茶化しちゃいけないと思う。だから、仁王が話すまでゆっくりでもいいから待つことにした。

「香澄ちゃん、俺…。」

「うん。」

「俺、な。」

「うん。」

「俺……。」

「うん。」

「…そうやって、ゆっくり俺の話を聴いてくれて嬉しかったんじゃ。」

「うん。」

「ずっと、側に居て、ほしいんじゃ。俺を、捨てないで、ほしいんじゃ…。じゃから、俺は、香澄ちゃんの全部が知りたいし、欲しいんじゃ。」

「…うん。」

「俺、香澄ちゃんが、好きじゃ。」

「…うん。」

仁王は耳まで真赤にして俯いている。言葉だけでも、伝わっている。だけど、それは、どういう意味?
私は仁王に近付いて、顔を覗き込んだ。

「香澄ちゃ…。」

「目を見せて。」

顔をそむけようとする仁王の顔をホールドして、私は仁王を見詰めた。
うるうるして、今にも泣いてしまいそうな仁王の顔。
きっと、あらん限りの勇気を振り絞って、私に告白してくれたのだろう。それを思うと、胸がキュン、と切ない。

「私のこと、好きなの?」

「っ!好き、じゃ!」

「犬としてじゃなくて?」

「おっ、男としてじゃ!」

「それなら、いい。全部あげる。」

私は、そのまま仁王の顔を引きよせて、唇にキスをした。





______________ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

あとがき

男嫌いどこいったwww
と、あざけり笑ってくださいいぃぃぃぃorz

2012.11.21

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