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テニスの王子様
断固拒否します





あと、5分。





「…………、以上でHRを終わります。」


ガタタッ


ここ数日の騒音の原因は私です。

HRが終わると同時に私、秋山香澄は、テニス部部員と果てしない追いかけっこを繰り広げる。

理由は単純明解。

誰がマネージャーなんかやるか!!


今のところ全戦全勝。
逃げ切ってます。

朝練?
そんなの参加するわけないっしょ?!

大体、ヒトの人権無視して無理矢理マネにさせられて大人しく業務につくと思ったら大間違いだ。

どんだけ世間知らずのお坊ちゃん集団なんだよ。


自分の身を護るため、驚異的なスピードで私は校内図を覚えた。
普段これくらい記憶力が良ければテストなんて楽勝だろうけどね…。



靴は鞄の中に常備しているので、校舎の外に出てしまえばこっちのものだ。


放課後テニス部から逃げる意味でもあるけど、一番はテニス部ファンの嫉妬に寄る嫌がらせがあったからだ。


マネ勧誘の次の日。

どこから仕入れたんだと言うくらい私のマネ採用の話は全校に広まっていた。

そのため、靴の中は画ビョウびっしり&落書き、汚物のフルコース。


被害者は私だっての!!


マネになんかされて迷惑してるっての!

欲しけりゃ“のし”つけてくれてやるっての!


包囲の薄い体育館の校庭へと続く扉から靴を履いて外に出た。

無駄に広い校舎も私にとっては豊富な逃げ道だ。


まんまと校舎を囲む塀をよじ登り帰路についた。


今日も脱出成功です。










「おはよー!」

教室に入ったらクラスメイトが一斉に私を見た。

「?な、に?どしたの?」

みんな顔を見合わせて神妙な面持ちだ。


「よう、秋山。」





聞こえない。

聞こえないよ!

俺様ナルシストの声なんか聞こえない!!


「数学の課題やってきた?問3なんだけ」
「俺様を無視するとはいい度胸だ。」


あらら?
クラスメイトの顔から血の気が引いてますよ?

私からは見えない跡部さんは一体どんな顔をされているのかしら?

がしっ


襟元を掴まれた!!

「きゃわっ!何すんですか!私は犬猫じゃありません!」

「うるせぇ!マネのくせに朝練も通常練習も来ねえとはどういう了見だ、アーン?」


すごまないで!


「て言うか!私マネの件了承した覚えありません!!」

「だから、俺様にそんなもの必要ねえ。」

何なのこの暴君!!


「やだって言ってんじゃない!」





「お前に拒否権はねえ。解ってるのか?お前の父親は誰のもとで働いているか…。」


自分の周りの空気が冷えた。

一気に血の気が引く。


従わなければ、一家で路頭に迷う。

この俺様はそう言いたいんだろう。





今この場で跡部さんを卑怯者と罵っても現状は変わらないだろう。
この人はやると言ったらやる。

そういう雰囲気がある。

私だけなら絶対に拒否出来た。

でも、家族を引き合いに出されたら私に成す術は無い。

私は単なる中学生で、何の力も無い。
父親が手放しで喜んでいたこの昇進を、私の我儘で白紙に戻すなんて、…っ!





「………、マネージャーの件、お引き受けします。」


私は、初めて自分ではどうしようもない敗北を味わった。





______________ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

あとがき


あれ?!


べ様がひどい悪役です( ̄□ ̄;)!!


何だこの極悪非道な振る舞い。

えげつない…(-o-;


すみません!

家の力は今回限りにします…(-_-


2008*10*26
2012.04.27修正

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