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テニスの王子様
ヘタレとサボりました


いい加減立ちっぱも疲れたので、一旦仁王を引き剥がし、屋上にごろん、と横になった。
幸いなことに、今日はいい天気で、ポカポカと暖かく、コンクリートの床も温まっていた。

「香澄、ちゃん…?」

「どうせ今から行ったって欠課だもの。このままサボるわ。…仁王も寝れば?」

「っ!!うんっ!」

あ、尻尾が見える。
仁王は嬉しそうに私の隣に体を横たえた。
左側に仁王の気配を感じて、若干体が固まる。私はそっちを見ないように、ボーっと空を眺めていた。綺麗な青空に、白い雲がゆっくりと流れているのをただただ見ていた。
次第に瞼が重くなり、うとうととして目を閉じた時だった。

「香澄ちゃん…。」

「…なに…?」

「手、繋いでもええか…?」

「…うん…すきにしなよ…。」

そんな風に言ったのは、夢現(ゆめうつつ)で聞いたからかもしれない。ただもう、眠くて。
私の肯定に、そろりと左手に触れる仁王の手。少しためらいがちで、でも、徐々に指が絡んでしっかりと握られた。
少しひんやりとして、マメがつぶれて硬くなった手の感触。

「…ぶかつ、がんばってんだ…。」

「!……ああ…。香澄ちゃんが応援してくれるから頑張ってるぜよ。」

「そっか…。」

そう言ったのを最後に、私の意識は急速に落下した。ただ、額にふわり、と何かが触れた感じがしたのは、うっすらと覚えていた。





「…ん…。」

チャイムが鳴っているのを遠くで聞いて、ぼんやりと目を開けた。目の前は白いシャツ。

「!!」

意識がはっきりすると、左手は恋人繋ぎだわ、仁王に密着してるわ、抱き寄せられてるわ、背中に回っている腕に結構な力が入ってて抜け出せないわでパニックを起こした。

「ちょ、仁王!起きてよ!放して!!」

空いてる右手で仁王の胸を叩けば、うっすらと目を開けて、私を見下ろしていた。その剣呑な視線にドキリ、と心臓が跳ねる。艶っぽいというか、色っぽいと言うか…。

「この間みたく、名前呼んで欲しいなり…。」

だけど、お願いは変わらず子どもの様だ。一瞬にして仔犬の目に変わった。

「…私、まだ怒ってんだけど。」

そう。私はまだ仁王を許した訳ではない。だって、私達の関係は、恋人のような甘い関係ではないのだから。それなのに、頬とはいえ仁王は私にキスをしたのだ。

「怒っとってもええよ…。アレを無かったことにはしたくない。ただ、俺を捨てないで欲しいなり。」

「…それさ、私にメリット無いんだけど。」

「俺と一緒に居れるんじゃから、メリットじゃろ?」

「それを何の疑問も持たずに言えるお前が凄いよ。」

はぁ、と溜息を吐くと、仁王は何かを思案しているようで視線を外した。何か、嫌な予感がするんですが。

「この間のプリクラ…。」

嫌な予感的中!!

ハル!そろそろ授業出ないとならないから放してくれないかなぁ?!」

名前を呼べば、仁王は嬉々として私を放してくれた。ゴネない辺りはまだ可愛げがあるもんだ。
二人の時しか呼ばないことを約束させて、私は教室へと戻った。

私達の関係は、曖昧なままだけど。





______________ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

あとがき

におちゃんが可愛いと思うのは間違いですか←
香澄さんは最終兵器をにおちゃんにあげちゃったわけですから、相当ほだされてるし、甘やかしちゃってますかねA^_^;)

2012.09.19

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あきゅろす。
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