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テニスの王子様
ヘタレを見つけました


新緑の若葉が萌える頃。
私、秋山香澄は、見てはいけないものを見てしまいました―――――。





立海大附属中学に入学して早2年。
特にトラブルもなく過ごしてきたと自負している。
ソレは偏(ひとえ)に、私が極度の男嫌いだからということに他ならない。

何せこの立海、顔が入学の基準なのではないかと言うくらい美形が多い。
そして、その中で群を抜いて美形が集まる部。
言わずもがな、男子テニス部があることが一番の問題だ。
見てくれがいいだけあって、ファンクラブなんてものも存在するのだから。
そしてこのファンクラブ。とても恐ろしい
まぁ、思春期特有の「彼はみんなのもの」みたいな規律があるのだ。アイドルと一緒だ。
だもんで、彼らに近づこうとする女子は根こそぎファンクラブのリンチに遭うという特典が付いているのだ。
そんな特典いらねぇっ!!
そんな中で、男嫌いだということが周知の事実となっている私は、そんな色恋沙汰にならない安全牌という位置づけのため、今の今まで平穏無事に過ごしてこられた訳です。

そう。今のいままでは

遡ること15分前。
私は教室掃除中でした。後は最後のゴミ捨てのみ、と言うところで、誰がゴミ捨てに行くか、という話になったのでした。
ゴミ捨て=焼却炉まで行かなければならない=面倒くさい、という図式がここにいる全員に出来上がっているからやっかいなのだ。
問題の焼却炉は、校舎を出て、校舎裏へと回らなければならない。教室と焼却炉の往復だけで漫画本1冊は読めてしまう時間が掛かるのだ。無駄に広い校舎と敷地のせいで。こんなもの誰だってやりたくない。
かくして、2年E組、教室掃除班による壮絶なじゃんけん大会が始まったのである。

そして、その栄えある敗者は見事に、私となったのでした。

「くそう…あの時パーを出してれば……!」

ぶちぶちと文句を言いながら、ガコンガコンとゴミ箱を引きずり、ただ今校舎裏に到着した訳です。
バサバサ、と焼却炉にゴミを捨てていた時だった。

近くの茂みから、すすり泣くような声が聞こえてきた。

校舎裏は、その大きな校舎のせいで日陰となり、かなり薄暗い。それに相まって若干の肌寒さも。
霊感は、ないと思う。今まで生きていた中でそういう体験はしたことがないから。
だけど、ホラーとかスプラッターとか、死ぬほど嫌いなんですよ。
これは、聞かなかったフリをして逃げるが勝ち!!

…とも、思ったんですがね。
生来の好奇心と言うものがある訳ですよ、人間っていうのは。
怖いモノ見たさって言えばいいかしら。
それに、この科学の時代にオバケなんてぇ……。
と、言う訳で、私はそのまま茂みの中へと歩みを進めた。

「(声の感じからすると男、だよね…?男だったらヘタレだわね。)」

その声の主は案外近くで蹲(うずくま)っていた。
だけど、その人の髪の色を見て、私の体は硬直した。

だって。

この薄暗い筈の校舎裏で、光りに当たったかのような。

銀。

私の頭の中でレッドアラートが鳴り響いていた。
ここから、早く立ち去らなくては!

ペキンッ

焦り故に、私は小枝を踏んでしまった。
それは、そこに蹲る彼にも、存在を知らしめてしまったということ。

そして、銀色が、振り返った。

目に涙を溜めて、頬に幾筋もの涙の跡を残した、美しい顔(かんばせ)。

彼の名は。

仁王雅治―――――





______________ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

あとがき

どもども。
におちゃんにも手を出したはねうさぎです。
昔はリョマや不二先輩が好きだったんですがね。
好みは変わるということでしょうか←
ヘタレたにおちゃんが別人のようだ……。

2012.06.05

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あきゅろす。
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