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テニスの王子様
違和感と寂しさと


何だかんだと幸村が私に絡んできていたのが嘘のように、日々は過ぎていった。
あの日からもう2週間が経った。
私は、平凡と言えば平凡な生活を送ることになっていた。
桜ちゃんとは、表面上は変わらない、仲の良い双子を演じていた。その実、部屋の中ではある種の緊迫した空気が流れ、桜ちゃんからも私からも、お互いに話しかけることは無くなっていた。
桜ちゃんの行動は私にとっては当たり前のことで、責める気も元の関係を強要することもしなかった。

ただ少し、ほんの少しだけ、物足りなさを感じていたのも本当で。
それが何なのかと問えば、やはり幸村のことになるんだろう。
幸村とは、ごく普通のクラスメートとしての会話しかしなくなった。
朝に「おはよう」とか、小テストの採点交換とか、落とした消しゴムを拾ってくれたとか……。
あんなにべたべたしていたのに、急にそっけない。
って!べ、別にあんな風に接して欲しいなんて思ってないないない!!

「絶対にない!!」

「ちょ、香澄?!一体どうしたの?!」

はたと気付けば、今は楓と昼食を摂っている最中だった。

「最近よく異次元に飛んでいくよね。何かあった?」

あったと言えばあったが、それは友達の楓にも言えないことだ。

「あ、わかった!幸村君でしょ?」

ぶはっと口に含んだお茶を拭き出した。咄嗟に横を向いた私、偉い!お弁当も楓も死守しました。

「な、なんっ……!!」

「だってさー、最近幸村君、香澄にちょっかいかけなくなったよね。あんだけ構われてたから急にそれがなくなって寂しいんでしょ?」

「ちっ、違っ……!!」

「照れるな照れるなー。嫌々みたいだったけど、幸村君にちょっかい掛けられる香澄、楽しそうだったよ?」

楽しくなんかないっ!
って、叫びそうになってやめた。
少なからず楓に言われたことは間違いじゃないから。

じゃあ、私、寂しかったの―――――?





______________ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

あとがき

またしても短い……orz

2012.05.20

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あきゅろす。
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