テニスの王子様
幸村君
それは、夏休みも近付いてきたある日のこと。ビッグニュースだと騒ぎながら同じクラスで友達の柏木楓が話しかけてきた。
「え?幸村君?」
「そう!去年病気で入院したんだけどね、ようやく退院できるんだって!」
「ふぅん……。」
「あれ?香澄、幸村君に興味ない?」
「興味ないっていうか……誰?」
「ええっ?!!香澄、幸村君知らないの?!!」
「だって、私去年はこのクラスじゃないし、……自分のクラスメートくらいしか覚えてないよ。」
「それにしたっておかしいでしょ!!幸村君って言ったらテニス部の部長だよ?!!」
「……テニス部…部長…?」
必死に記憶の引き出しを引っ張り出すけれど該当する人に行き当たらない。
「ごめん、楓、やっぱりわからないや。」
「じゃあ、香澄の隣の空席!!ここ!幸村君の席だよ?!!」
「…へぇ、そうなんだ……。」
ちらりと横の机を見る。未(いま)だ主人に使われたことのない机は塵一つなく綺麗だ。ずっと空席だとは思っていたけれど、そんなに御大層な人の席だった訳だ。
「もーーーっ!香澄感動が少ない!!いくら失れn…むぐっ!」
私はとっさに楓の口を塞いだ。その話は今したくない。それに、よくよく考えたら、テニス部なんて禁句以外の何物でもない。
「楓、いいから。そんなに私の傷を抉(えぐ)りたいの……?」
にっこりと微笑めば、楓はガタガタと青ざめて小さく「ごめん」と呟いた。
どんな人かなんて、知らなくていい。
だって、関わることのない人だから。
______________ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
あとがき
や、やっと次でお相手登場とかorz
今回は名前だけですみません(´・ω・`)
2012.04.25
[*前へ][次へ#]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!