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テニスの王子様
興味なんてない


近づかないで。

美形は目の保養になるけど近づき過ぎると被害が大きいんだよ!





転校初日って言うのは緊張するものだ。
新しいクラスには馴れるのか、勉強にはついていけるのか、友達は出来るのか…。
虎穴に入らずんば虎児を得ず。
きっと成るように成る。
一足先に教室に入った先生に呼ばれ教室のドアを開けた。
ざわついていた教室が静かになる。

「えと、編入生の秋山香澄です。北海道から越して来てわからないことだらけで迷惑を掛けることもあると思いますけどよろしくお願いします。」

常套句の台詞を言って会釈をひとつ。
パラパラと拍手が鳴ってるのを聞いて少し安堵した。

「じゃあ秋山は鳳の隣な。」

聴き覚えのある名前に教室を見回す。
窓際の後ろの席で鳳君が手を振っていた。

「クラス同じだったね。」

席について小声で鳳君に話しかけた。

「そうだね。昨日教えてくれれば良かったのに。驚いたよ。」

「…訊かれなかったし…。」

そこで担任の先生に「お喋りは後にしろー」と一喝され、会話は中断した。

休み時間は例の如く転校生に対する質問責めだった。よっぽど暇なんだろうなぁ、なんて思いながら質問に答えた。

転校したのは親の仕事の都合だし、転勤族だから彼氏もいない。部活は今のところ入る気はないし入ったとしても文化系。得意なことも苦手なことも特になくて平均的。

「秋山さんって訛りないんだね。」

これは初めて聞かれた。まぁ、今まで北海道内しかいなかったから当たり前か。

「…そうかな?自分じゃ気付かないからなぁ…。でも元々北海道は開拓時代に色々な所から来た人達が繁栄したから、ほとんど標準語だと思うよ。」

「そうなんだ。」

話してみれば、気さくな人が多くてほっとした。
金持ち学校だからそれを鼻にかけた嫌味な奴ばかりかと思っていたから…。

「ねぇ、秋山さんは鳳君と仲がいいの?」

…これには驚いた。
そんな話を転校初日に振られると思わなかったし、聞いてきた子の雰囲気が少しおかしかったから…。
多分、この子、鳳君のこと好きなんだろうな…。
新参者の私にも嫉妬、か。
お忙しいこと…。
半ば呆れながらも私ははっきりと言った。

「仲が良い訳じゃないよ。昨日職員室まで案内してもらっただけ。それに私、恋愛事って興味ないから…。」

その子は疑わしい目をして私から離れた。
警戒しなくたって本当のことなのに…。


大切なヒトは今は作れない。


「秋山さん?」

不意に話しかけられ、頭を上げた。

「次、移動教室なんだ。案内するよ。」

鳳君の笑顔、安心する。私にとっていい人だから。
さっきの子みたいに敵意を持ってないから…。

「あ、うん。」

私は化学の教科書を持って鳳君の後に付いて行った。





鳳君はとにかく親切だ。
私以外にも頼まれたら何でも引き受けてるし、物腰が軟らかいから何をしても嫌味にならない。

「ねぇ、鳳君、疲れない?」

「え…?」

彼はきょとんとしていた。

「何か、何て言うか…、気に障ったらごめん。私には、鳳君が自己犠牲で成り立っているように見えるの。」

鳳君は驚いて目を見開いていた。
あ…、また一言余計だった…。
いい加減に学習しろよ私!

「…ごめん、今の忘れて?」

居心地が悪くても移動教室の場所を知らない私は鳳君について行くしかない。


早く、校内図覚えよう。


そのあとは終始無言だった。
鳳君の表情が読めない。
言ってしまったことは取消せない。短絡的に言葉を発するのはやめよう、と思うのに一向に直らない。
どうやって直せばいいのかわからない…。

そうやって、他の人を傷つけてしまうんだ…。


だから、私は人に興味のないフリをする。
誰も傷つけたくなくて、誰にも迷惑かけたくない。

大事なヒトは作らない。

いつか、別れる時がきて、その人を想い出に変えられる程私は大人ではない。



あ、ぼーっとし過ぎた。
顔を上げるとそこには…。

誰もいなかった……。


えぇっ!?
お、鳳君何処?!
てか、ココ何処?!
王道の迷子ですか?!
時計を見れば授業開始5分前…!!
まずい。
まずいよ!
転校初日に授業遅刻なんて!
とりあえず、今向いている方向の逆へ早足で進んだ。
各部屋のプレートを見るけど、目当ての教室はない。
まだ鳳君がいたと確信できた時から階段昇降はしていないのでこの階のはず…。

なのに、見つからない…。

「……っ。」

急に目頭が熱くなる。
やだ、こんなところで一人なんて…。

涙を拭いながら私は足を進めた。



ごんっっ!!



「いったぁ…。」

ああ、まさしく“泣きっ面に蜂”…。
急に開いたドアに思いっきり正面衝突…。

「おい、大丈夫か…っと、お前、昨日の…。」

聴き覚えのある声に顔を上げれば、昨日の俺様さんが立っていた。

「お前こんな時間に何してるんだ、アーン?」

「あ、あの…次、化学で、移動途中に、ぼーっとしてたら鳳君とはぐれて…。」

「お前は馬鹿か?」

「返す言葉もございません。」

「まぁ、いい。案内してやる。ついて来い。」

私は(不本意ながらも)俺様さんの後に付いて行くことになった。
教室へ向かう途中で始業の鐘が鳴った。
あぁ…。
やっぱり遅刻した…orz

「おい、秋山。」

「ふぇ?!」

「着いたぞ。」

プレートには「化学室」の文字。
中で授業は進んでいるようだ。

「あ、ありがとうございました…。」

「校内が把握出来るまで一人になるなよ。」

「…肝に銘じておきます。」

そう言って私は教室へ入った。
先生は、今回は大目に見てくれた。
あとで俺様さんにお礼を言いに行こう。
…そう言えば、俺様さんも遅刻だよね…大丈夫かな…?



何か知らないけど、硝酸塩を作る実験だったはずなのに、私達のグループの液体は黒い煙を盛大に吐き出していた…。

何?
呪い?
明らかに美形な鳳君や俺様さんと一緒にいたから?


やっぱり私にとって美形は鬼門なんだろうなぁ…。





______________ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

あとがき


おはようございます(笑)


名前変換少なくてすみません(o_ _)o


とりあえずヒロインちゃん、大半のレギュラーの名前知りません…( ̄□ ̄;)!!
まだ名乗っただけで名乗られる前に逃げちゃったので…(^-^;

なんかチョタと微妙な雰囲気になっちゃったなぁ…(-_-;)

一言多いのはO型の特徴です。(はねうさぎもOです)
でも何とか仲直りします。

では、次回!


2008*9*17
2009*2*14修正
2012.04.27修正

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