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秦 斗真
危険な遊び


斗真くん?


声にしようと思ったが、唇が塞がれているせいで、音にはならなかった。

顔を歪め、両手で斗真くんの肩を掴んで引き離そうとする。


…けれどそれは、かなわなかった。



「…んっ」
口を割って入る彼に驚いて、私の声がかすかに漏れた。

強い雨の音。
彼の濡れた前髪が私の額にたれ落ちて。

角度を変えて何度も、彼が手慣れたキスをする。






「…っヤダ!」

叫んで顔を背けた。
「何考えてるの!?」

顔を真っ赤にして、彼を睨み付ける。

けれど。


「やっ!」

今度は腰に彼の右手が触れる。
「ちょ、ちょちょちょ!」
真っ赤になって起き上がろうとした。
この小学生ハンパない!

「…なんで?遊ぼうよ」

初々しく首を傾げる斗真くん。
こいつ…、本当はわかってんな?
「何言ってんのよ。これはダメ!」
「なんで?」
「なんででも!」
真っ赤になって制服を下ろそうとする。
けれど彼の右手が私の制服を胸までめくり上げて。

「やだ!ねぇ嘘でしょ?」
「美乃里」

小学生と思えない甘美な声で、私の名前を囁いた。
耳に吐息がかかる。

そして首筋に、かすかな痛み。
その痛みが程よく気持ちよくて。
感じてる自分が気持ち悪かった。

相手は小学生の遊び半分の気持ち。
なのに、私は足をモジモジとさせて、じれったいと暴れる。
それに気付いた斗真くんが、その足の間に足を入れて制止させた。


そして胸に手がいき、暴れた私に再び塞ぐようなキス…










バシン!


一瞬の隙をついて、右手で彼を思いきり叩いた。
彼の左頬がかすかに赤らむ。

「サイテー!こんな遊び嫌だよ。斗真くんのバカ!」

涙目になって彼から無理やり離れた。そして土砂降りなことも、地面がぬかるんでいることも忘れて。
私ははだけた制服を直しながら、家まで走った。


あんなにかわいい顔して。
遊ぼうって言われて、ちょっとお姉さん気取りしていた。
中身はエロガキじゃないか!





「ただいま!」
扉を開けて、すぐに階段を駆け上がる。

「あら美乃里?夕飯は?」「あとで!」
部屋に入ってすぐに息を整えた。
濡れた髪からポタポタと滴が滴り落ちる。


どうして?




雨に打たれて冷えたはずの体が。









燃えそうなくらい、熱くなっている…。






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