4 ずぷっ!とキッドのペニスが沈む。 青年は背をしならせ、絶叫に近い喘ぎ声を上げた。 船まで聞こえているかもしれない。 高すぎず低すぎず、青年の叫び声は心地よい音程だった。 肉棒に絡みついてくるアナの具合も最高に良い。 その辺の商売女とセックスする時よりも断然快感だった。 落ちるような快楽とはこの事だろう。 キッドは青年の両手を地面に縫いつけ、腰を荒々しくぶつけた。 血とキッドの先走りが絡み合う。濡れた音を響かせる。 ぐちゅっ!ぐちゅっ!ずぱんっ!ずぱんっ! えげつない音を立て、キッドは青年の内部を掻き回した。 長大な雄が青年を深く犯す。 「あぁ、ぁぁっんぁっや、やめっ…あぁぁぁぁっ!!」 「やめられる、わけ、ねぇだろっ!!」 キッドの息も上がる。 何度も腰を打ち付け、青年の中を味わうように回す。 絶妙な力加減でキッドを締め上げる青年のアナは、キッドを夢中にさせた。 「お前、ここで、死ぬのはっ‥ん、勿体ねぇ、なっ!」 ずっぷり奥まで挿入し、キッドはさらに腰を擦り付けた。 しかし青年の胸には矢が刺さっている。 程なく絶命するだろう青年に、キッドは更なる興奮を感じた。 「ころ、して‥っ」 「あ?」 一思いに殺して欲しいのか、青年が呟いた。 その懇願すら心地よい。 もちろんキッドは聞き取れていたが、わざと青年に聞き返した。 青年が口にしたのは、キッドの予想していたものとは全く違っていた。 「っ、こ、殺すっ‥あっ‥貴様、殺してやる…!!」 貫き殺さんばかりの殺気。 キッドの背筋に駆け巡ったのは至福だった。 「クククっ…はははっ!最高だなァ!」 青年の細い腰を掴み、勢い良く腰を叩きつける。 ずぱんっ!ずぱんっ!ずぱんっ! 肌のぶつかる音、粘膜の擦れ合う音。 熱い腸壁に包まれたペニスが、ごりゅごりゅと動く。 「…っんっんぅっあぁ‥っ!!」 キッドは青年の唇に舌を這わせた。 顎を伝う血液を舐め上げる。 「逝っちまえ」 ぐ、と青年の胸に刺さった矢を握る。 深紅の瞳が見開かれた。 その唇が否定の言葉を紡ぐ前に、キッドは矢を思い切り引き抜いた。 青年の胸から鮮血が上がる。 それはキッドの顔を汚した。 青年の体が跳ね上がると同時に、キッドは己の熱を青年の中へ注ぎ込んだ。 奥の奥に馴染ませるように腰を動かす。 青年は目を見開いたままビクビクと震えた。 キッドは光をなくした青年の瞳を見下ろした。 右手に持った矢に目をやり、舌打ちをする。 萎えたペニスを引き抜くと、グポ、と青年の中から大量の精液が滴った。 服装を整え、キッドは青年を軽く蹴った。 何の反応もない。 虚ろな目は何も映していないようだった。 矢を引き抜いたのが、とどめになったのだろう。 キッドは青年の目に手を当てた。 開いたままの両目を閉じさせる。 血の滴る口元を帯で拭うと、青年はただ眠っているだけのように見えた。 青年の死に顔を眺めているキッドの後ろから足音がした。 「殺したのか」 キラーだ。 腕を組んでキッドを見下ろしていた。 声には若干呆れが混ざっているようにも思える。 「とどめは刺したけどな、コイツは最初から射られてたぜ」 「―…その矢…見たことがないな」 キラーはキッドが手にした矢を見た。 そして首を傾げる。 「その女は一体誰に射られたんだ?」 「やっぱり女に見えるよなぁ、コイツ」 キッドは青年の下半身を隠していた布を捲り上げた。 露になった青年のペニスと、白濁に汚されたアナを見てキラーがため息をつく。 「…その男を射ったのは誰なんだ?」 「さぁな」 キッドは何とはなしに青年の胸元を触った。 傷口から溢れ出た血を吸って、ぐっしょりと濡れている。 ふと、指に固いものが当たった。 何なのか探ろうと、青年の服に手を差し入れる。 「おいキッド、死人から物を盗るな。格が下がるぞ」 「今更だろうが」 不機嫌そうなキラーの声も無視して、キッドはそれを掴み出した。 それは、質素な横笛だった。 一切の無駄を省いた、すっきりとした形に思わず目を惹かれる。 中々に良い品なのだろう。 すべらかな手触りも良い。 キッドはその笛を腰に差した。 吹くことはないだろう。 しかし、持っておきたいと思ったのだ。 キッドは青年の髪をさらりと撫でた。 それは信じられないくらい優しい手つきだった。 「あの世で必ず殺しに来いよ」 続きは音にすることなく言った。 ―…それまで覚えといてやる―… [*前へ][次へ#] [戻る] |