3 * そう歩かないうちに、キッドはあるものを見つけた。 浜辺近くに茂った木々の中、銀色が煌めく。 近づくとそれが人であることが分かった。 長い銀色の髪が草の上に広がっている。髪飾りだろうか、頭には深紅の角のようなものがあった。 褐色の肌はなめらかそうだった。まだ若い。 閉じられた目は長い睫毛で縁取られており、その睫毛も朝露のような銀色だった。 通った鼻筋に、形の良い唇。顔の造形は中性的だった。 美しい面立ちをしたそれに、キッドの視線は釘付けになる。 しかしその視線が胸元に移動した時、キッドはため息をついてしまった。 「死体かよ」 その美しい者の胸には、深々と一本の矢が刺さっていた。 矢の長さから見るに、確実に矢じりは心臓に到達しているであろう。 しかしどうしてかその者に対する興味を捨てきれず、キッドはその死体に近づいた。 キラキラと光る銀髪を一ふさ手にとる。 すると、死体だと思っていたものがビクン、と動いた。 「…生きてんのか?」 キッドが男とも女ともつかないそれの頬に、手を伸ばす。 指先が触れる前に、それは目を開いた。 血のように真っ赤な瞳がキッドを映す。そして苦し気に綺麗な眉を寄せた。 その表情に、キッドはぞくりとしたモノを感じた。 虐殺の最中とはまた違った高揚感。 荒い呼吸を繰り返すそれの上に跨がり、キッドはニヤリと笑った。 「こんなもん刺さっても意外と死なねぇんだな」 ツツ、とそれに突き刺さった矢を指先で撫でる。 それは「あ゛、ぁ…」と呻き声を出した。 抵抗するだけの力は最早残されていないらしい。 キッドは腰に差したナイフを手に取り、それの服を切り裂こうとした。 しかし、どういう素材で出来ているのか服は一向に切り裂けない。 そうしているうちに、それは大量の血を吐いた。 美しい顔が血で汚れる。 キッドは舌打ちをした。 「…さっさとしねぇと死ぬな」 とりあえず自分は、今溜まっているものを吐き出せさえすれば後はどうでも良い。 キッドは腰帯のようなものに手を伸ばした。 ほどいていくと、それが紅い目を見開く。 何をされているのか理解したらしい。 「き、さま…何を…」 「どうせ死ぬんだから最期に俺の役に立て、女」 下の服をずり下げ、キッドはそれの脚の間に手を入れた。 瞬間、あるはずのないものに触れる。 キッドは思わず動きを止めた。 「触る、な‥けが、らわしいっ…!」 ぶん、と腕を振り上げられ、キッドは軽くかわした。 女だと思っていたものを見下ろす。 「お前、男か」 キッドの言葉に銀髪の美しい青年は、怒りを露にした。 「見れば、分か、る‥であろうっ…!」 「分かんなかったから襲ったんだろ」 ザクッと青年の顔のすぐ横にナイフを突き立てる。 青年の体が震えた。 「まぁ、良い。時間もねぇし女もいねぇから、お前で済ます」 「な、に‥を…?」 困惑する青年の左足を抱え、キッドは笑った。 「ここまでされて分かんねぇのかよ?」 「んぅっ!?」 青年の口に指を二本突っ込む。 口内の唾液と血を無遠慮に混ぜられ、青年の瞳にじわりと涙が浮かんだ。 その表情に、キッドは下腹部に熱が溜まるのを感じた。 しかし青年はキッドを睨み上げると、ガリッとキッドの指に噛みついた。 突然の痛みに、キッドは反射的に青年の腹部に拳を叩き込む。 「がはっ…!!」 青年は大量の血を吐くと共に、キッドの指に沈めた牙を抜いた。 キッドの指は血塗れだった。 青年の血だけではない。 ザックリとした咬み痕を見て、キッドは笑った。 「はっ!お前、良いな」 殴られても変わらぬ鋭い目付きに、ゾクゾクする。 キッドは血濡れた指を青年のアナに突き入れた。 「あぁぁぁぁぁぁあ゛ぁっ!!?」 乱暴に突き刺し、体の内側を掻き乱す。 胸に矢が刺さったまま、青年はのたうちまわった。 咳き込む度に口から血を吐き、紅い瞳から涙を溢す。 それは恐ろしく美しい光景だった。 キッドにはそう見えた。 「俺のを入れるなら裂けたぐらいが丁度良いだろ」 「や、やっ…やめ、ろっ‥あ゛ぁぁっ!!」 青年のアナにさらに指を入れる。 バラバラに動かしながら、入り口を広げるように指先に力をこめた。 青年のペニスは使われた様子もなく、萎えた状態で揺れている。 キッドはそれを柔らかく掴み、悪戯に揉みほぐした。 「ひっ…ぁあぁぁぁっ!!なっ何、これ‥な…っっっ!!?」 「はははっお前、自分で触ったこともねぇのかよ?」 青年の太股を舐め上げ、キッドが愉しげに笑う。 そして熱く硬く怒張した男根を取り出した。 それがアナに当たり、青年は必死になってキッドを押し返そうとした。 鋭い爪がキッドの頬を掠める。 キッドの白い肌に、赤い筋が走る。 そこから細く血が流れた。 「やめ、‥ろ…!にんげ、ん、ごとき‥がっ!!」 瞳の奥に怒りの炎が燃える。 それはキッドを楽しませるばかりだった。 [*前へ][次へ#] [戻る] |