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能力者

悪魔の実が何なのかを知らないユエは、いたる所から手を生やすロビンを見て驚いていた。
と言うより、怯えていた。

にょきっとユエの肩から手が生える。
ユエは小さく「ひっ」と息を飲んだ。
隣にいたチョッパーに抱きつく。
ロビンはその様子を微笑ましそうに眺めていた。

「ちょっと、そろそろ止めてあげてよロビン。泣きそうじゃない」
「ごめんなさい、泣き顔が見てみたくて」
「泣かす気だったのかよ!」


笑うロビンにウソップが突っ込む。
ユエはチョッパーを抱きしめたまま涙目でロビンを見ていた。


「そっそれで、悪魔の実って何なんですか…?はっ!まさか皆さんも手を生やせるとか―…」
「ちげーぞ?俺はゴムゴムの実だからな」


言いながらルフィはみょーんと腕を伸ばした。


「ううう、腕が伸びた!?」


ユエがさらにチョッパーを抱きしめる。
チョッパーは呻き声を上げた。
ハッとしてユエが腕を緩める。


「はぁっ…絞め殺されるかと思ったぞ」
「ごめん、チョッパー君」


謝りながらユエはチョッパーを優しく撫でた。
するとチョッパーはユエを不思議そうに見上げた。


「なぁ、何でロビンやルフィは怖がるのに、俺やブルックを怖がらないんだ?」
「え?だって…チョッパー君やブルックさんはそういう人種とかじゃないんですか…?」
「ヨホホー!私はヨミヨミの実を食べて一度死んだだけの、ただの人間ですよー」
「スーパーに普通じゃねぇな!ま、俺も人の事は言えねぇが」


フランキーが豪快に笑う。
ユエは話を整理しきれずにいた。
そこにナミが助け船を出す。


「良い?この世界には悪魔の実と呼ばれる不思議な実があるの。そして、その実を食べた人は実の能力を得ることが出来るのよ。悪魔の実を食べた人の事を『能力者』と呼ぶわ」


ナミが確かめるような視線を送ると、ユエはコクコクと頷いた。


「ロビンはハナハナの実。能力は体の一部をどこにでも『咲かせる』ことが出来るの。花みたいにね」
「驚かせてごめんなさいね」


ロビンはそう言いつつも再びユエの肩に腕を咲かせ、ユエの頭を撫でた。

ナミは次にルフィを指差した。


「ルフィはゴムゴムの実。能力は見ての通りよ」


腕を伸ばしているルフィを見て、能力を理解したユエは頷いた。
次にナミはチョッパーを指差した。


「チョッパーは人間じゃなくてトナカイよ。ヒトヒトの実を食べたの」
「大きくなったりも出来るんだぞ」
「そうなんだ」
「ブルックはさっき自分で言ってたから分かるでしょう」
「省くなんて酷い!泣いちゃいますよ!私、涙出ませんけどねーヨホホホホ!」


ハイテンションなブルックに、ユエはたじたじだった。

ユエはちらりとフランキーの方を見た。


「あの、アニキは何の実を食べたんですか?」


フランキーの見た目から判断したのだろうユエが訊ねる。
フランキーはコーラのビンを置いて笑った。


「俺は体の前半分がサイボーグなんだ、実は食っちゃいねぇよ」
「サイボーグ…?」
「あとで教えてもらうと良いわ。それより、お皿に残ってるの食べちゃいなさいよ」


ナミに言われ、ユエは食事を中断していたことを思い出した。
「はい!」と答えてナイフとフォークを取る。
もぐもぐと美味しそうに食べるユエを見つめながら、ナミは何か考えているようだった。







「ナイフとフォークの使い方とか、常識的なことは覚えてるみたいに見えたけど、悪魔の実は知らなかったのね」
「はい、今説明を聞いてもビックリするばかりで‥特に何も思い出せません」


ナミに答えながらユエは食べ終わった皿をきちんと重ねていた。

敬語も使えているし、女なのにも関わらず男だと言い張る以外ユエはとても常識人だった。


「…ユエ、あなた自身は悪魔の実を食べたとか、そういう記憶はないの?」
「え?…ないと思いますよ。だって俺、何にも出来ないし…」
「でもサンジ君の蹴りには反応できたわよね?」


ナミの言葉に、水を飲んでいたゾロがピクリと片眉を上げた。




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