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蒲公英


いやいや、なんだこれは。冗談だと言ってくれ頼むから。


「…ん」


どこをどうみても全裸。そして俺は、この目の前の全裸の男に抱きしめられている。俺とは違う明るめの茶髪。

春だった。


昨夜、何があった。いやそれはなんとなく分かる。腰がズキズキするし頭が痛いし喉が痛い。あぁ確か飲んだんだった。もしかして俺は一線を越えてしまったのか。


「はる」


ガラガラ声で春の肩を揺らす。そうすると春は小さく呻いて、固まった。


「…え」


えって言いたいのは俺の方だ。もしかして俺が誘ったのか?


「れ、蓮」
「…なんだよ」
「ごめん!!」


布団を捲りあげて土下座をされた。いやいや、そういうことじゃないし。違う、と言いたくても腰が痛くてうまく起き上がれなかった。


「謝るなよ」
「俺、多分酔ってて」
「俺も多分酔ってた」
「全然記憶ないんだけど、蓮とヤっちゃったってのは分かった」
「俺も…身をもって」


胡座をかいた春を見上げると、すまなさそうに頭を撫でられた。なんだかこっちが悪いような気がする。いや、お互い酔ってたんだからどっちが悪いとかはないはずだ。


「俺は、平気だから。気にすんな」


そう言うと何故か傷付いた顔をされた。なんだこいつ。


「お前、腰痛いよな」
「まぁ…かなり」
「今日一日介抱してやるよ。てか、するべきだと思うし」
「…あ、そう」


春が持ってきた俺の下着を見て、何故か恥ずかしくなって顔を背けた。今更、こんなの恥ずかしくないはずなのに。


「飯、作ってやるよ」
「さんきゅー」









まさか体の繋がりがあったとは思えないほど普通に、その日は過ぎていった。




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