蒲公英
2
独身で彼女もいない俺(&春)は二人で寂しくコンビニ弁当を食べる。智はちゃんと恋人がいるらしい。それも社内にだ。だから当然、ここにはいない。
「この時間帯ってさぁ、見事に人がいなくなるよな」
「食べに行ってんだろ。春も行けばいいじゃん。なんで行かねぇの?」
「可哀相な蓮と一緒にお昼を食べてやろうかと思ってね」
「殴っていいか」
「遠慮する」
部署の仲間と食べにいかない理由は一つ、めんどくさいから。このお昼時で混む時間にわざわざ外に出たくない。俺は人に揉まれるのが苦手なんだ。こうやって二人で昼を食べるのはいつものこと。
「なぁ蓮」
「ん?」
「智はバイっての、本当?」
「なぜそれを俺に聞く」
「特に意味はねぇよ」
「バイだろうがゲイだろうが俺は知らん」
「うわ、冷たいねぇ」
「第一、人の好みなんだからどうこう言う気ないし。別にいいんじゃねぇの?男もいけますって奴でも」
「ふーん…以外」
「なにが」
「蓮ってそういうの嫌いかと思った」
「別に。俺がバイだとかゲイってわけじゃないし」
実は俺の姉は腐女子だったりする。だから多少の免疫はあるし、嫌悪感もない。好きならいいんじゃない?くらいの考えしか持ってない。
「てか、なんで今その話題?」
「特に意味はねぇよ」
「あっそ。あ、それ美味そう」
「それと交換ならいいぜ」
「じゃ交換な」
おかずを交換して、適当に話しながら弁当を完食する頃には、お昼から帰ってきた奴らが戻ってくる。智だってそうだ。
「よぅお二人さん。今日も寂しいお昼だねぇ」
「うるせぇよ」
「お前は彼女の手作り弁当でも食ってきたのか?」
「まぁね。めいっぱいラブラブしてきたから。俺あと半日頑張れるよ」
「うぜえよお前」
「本当うぜえ」
「独り身にうぜえって言われても、痛くも痒くもないしー」
さっき春と話していた、智のバイ疑惑はどこへやら。聞くのも忘れてからかって遊んでいた。
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