京七小説 屋根の上 3 襟元がくつろげられる気配に、七緒はふと、われに返った。 「だめです」 やっとの思いで突き飛ばす。 「何やってるんですか」 「ええ。ここでお預けはひどいよ」 上目づかいで文句を言う。七緒はそそくさと服の乱れを整えた。 「だめですよ。よりによってこんなところで、誰に見られるかわからないじゃないですか」 京楽が敷いていた着物を羽織ると、ニンマリと笑った。 「ってことは、場所を変えれば続きをしていいってことだよね」 「いいえ、それはまた話が別で……」 「楽しみだなあ。さあ、仕事仕事」 「ちょっと待ってください。隊長」 とはいいつつも、次の機会には流されてしまいそうで、不安になる七緒であった。 [*前へ] [戻る] |