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京七小説

「リサさんの消息が絶えたとき、本当にさみしくて、心にぽっかり穴が開いたようでしたけれど、
でも、八番隊がなくなったとは一度も考えませんでした。
ほかの隊員たちも、同じだったと思います。
皆にとって、京楽春水が八番隊そのものだったからです。
要するに基本はできているのですから、少し広げていただければいいんです」

京楽がかすかに笑いながら、振り向いた。

「簡単に言ってくれるねえ。13倍は少しとは言わないよ」

「もちろん、山本総隊長と同じようになろうとするのは無理です。
創設者であり歴史そのものの方でしたから。
ですが、その存在が大きすぎて弊害もありました。
何か問題が有った時に、総隊長の鶴の一声で決まってしまったり、
周りも総隊長の言うことだから、正しいのだとして従ってしまったり。
隊長ご自身もおっしゃってましたよ「やまじいの言うことだから仕方ない」って」

「まあねえ」

京楽が顎ひげをなでながら苦笑する。


「これは虚の討伐など普通の戦いにおいてはプラスに作用しましたが、
政治的な問題や駆け引きが必要な場面ではマイナスでした。
ときどきひどく頑なでどんな提案も受け入れてくださらないところもおありでしたし。46室を絶対視しすぎるところもありました。
その点京楽総隊長なら、バランス良く仕事をこなされると思います」

京楽は、腕を組んで机にもたれた。
聴く体制のその態度に励まされ、七緒は続けた。

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