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京七小説

京楽家について、調査を請け負ってくれた人たちに引き合わされました。

肩くらいのぼさぼさ髪の毛に、無精ひげの男の人は春水と言い、この家の次男だそうです。
助手の名前はリサといい、きりりとしたおさげ髪の女性です。
初めて会った時、七緒はひどく緊張していました。
からかわれるのではないか。気味悪がられ意地悪をされるのではないか。
ですが二人とも優しい人でした。

一通り調べられた後、七緒は春水から説明を受けました。

「医師の話では体のどこにも異常はないし、
何か膠のようなもので張り付けたのかと思っていたけど、そうでもない。というわけで、
僕らは鉢が頭からとれないという事件がなかったか調べてみたんだ。そして見つけた」

春水はいそいそと書類を広げた。

「この人のことは当時ずいぶん話題になったらしくてね。
「鉢かづき姫」っていう、御伽話にもなってるくらいだ。確か彼女が16歳の時かな、
鉢は自然にとれた。どうしてだと思う?」

一向にわかりません。
七緒はかぶりを振りました。

「彼女が恋をしたんだ。恋しいその男が鉢に触れた途端、鉢はするりと落ちた」

春水は嬉しそうにいいました。

「ってわけで、どうかな。ここで働いてみないかい。
人の出入りもおおいから、運命の相手に巡り合える確率も高いよ。それに」

春水は大きな体をぐぐっと曲げ、七緒と目の高さを合わせて、言いました。

「誰もいなければ僕に恋をすればいい」

それまで後ろに黙って立っていたリサが春水の頭を高速ではたきました。
「いたいけな少女に、何言うとんじゃ」

そして、リサは、目の前の光景に声もなくびっくりしている七緒に笑いかけた。

「あんたさえよければ、ここで働かないか。
あたしも見習いを一人ほしいと思ってたとこやし、
ここには、いろいろな情報が集まるから、
もしかしたら別の方法が見つかるかもしれんしな」

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