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京七小説
10
鈴なり姫への戒めとして代々語り継がれているという、話を聞いたのは15歳の時でした。

『ある鈴鳴姫は漁師の息子と密かに過ちを犯した。海神は大変お怒りになったため、村には津波が押し寄せ、姫も相手の若者もクラゲになり、海を漂うことになった』というものです。

「故に男と二人きりになってはなりませんぞ。クラゲになってしまいますからな」
教育係の年老いた巫女は、そういって話を締めくくりました。
穢らわしく、また愚かしい話のはずなのに、七緒には甘やかなもののように聞こえました。

それと同時に、一つの疑問が頭を離れなくなりました。過ちとは一体何なのでしょう。「男と二人でいること」ではないのが確かです。11歳の時から、ひと月に一度、京楽さんと二人きりで過ごしているのに、一度も洪水は押し寄せません。
ではいったい「過ち」とは何なのでしょう?



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あきゅろす。
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