京七小説 9 いつもいつも、一生会わない覚悟で別れを告げます。 「さようなら。もう来ません」 「ええ、そうなの」 「いえ、だめです。お別れです」 でも、次の機会があれば足は自然と、この場所に来てしまいます。 そして待ち合わせたわけでもないのに京楽も現れるのです。 闇の中に引きずり込まれるような、恐ろしい夢は見なくなりました。代わりに見るようになったのは海の底にあるという都の夢です。 でもその都は、海藻の向こうでゆらゆらと揺らめくばかりで、いつまでも形をなさないのでした。 [*前へ][次へ#] [戻る] |