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京七小説

時には話もせず眠るだけの時もあります。
京楽さんに腕枕をしてもらうと不思議と怖い夢を見ません。
目を覚ました時は何年も何十年も一緒にいたようなくつろいだ気持ちになれるのです。

「目が覚めた?七緒ちゃん」

 
京楽さんの手で顔にかかった髪をかきやられるとき、七緒は頭の片隅で思います。こんな親密な行為をしてはいけないのではないか、と。

優しく、名前を呼ばれると、どうでもよくなり、うっとりとされるがままになっています。

「七緒ちゃんは、いい匂いがするねえ」
「たぶんリサさんが作ってくれたヨモギ枕のおかげです。時々、眠れるように丁子香と、安息香とかを手に入れて焚いてくれるんです」
「そうか。どうりで。お菓子みたいだ」

七緒は、いつも別れ際、これで最後にしようと思います。
ただでさえ、リサのいないところで、人と会っているのです。
誰かに気づかれたら、七緒は図書館に来られなくなります。
京楽さんにも迷惑がかかってしまうでしょう。
今のところ(不思議なことに)リサさんは全く気づいていないようですが、油断はなりません。


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あきゅろす。
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