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京七小説

3月もたったころには七緒の目の周りには子供らしからぬクマが浮かび、いつも眠い疲れたといいながら、しょげたようにうなだれていることが多くなりました。

先輩の巫女であり、ずっと護衛を務めてきたリサは、七緒の変化に心を痛めました。
あんなに生き生きとしていた子が、こんなに無気力になってしまうなんて。儀式とは言えむごいこと。
せめて安らかに眠れるようにと眠りを導くといわれる香を取り寄せたり、ヨモギ枕や菊枕をつくって見たりしましたが、効果はありません。

本を読むのが好きな七緒のためにリサは、図書館に自由に出入りする許可を願い出ました。
この神殿に付属した図書館はとても充実しており、遠くの国からもわざわざ本を読みに来る人がいるほどです。
神官長は、巫女姫たる七緒が、神殿の中とは言え多くの人が集う場所にいくことに、良い顔はしませんでしたが、リサの努力と七緒自身の願いによって、許可が下りました。
ただし3つの条件付き。
1月に一度のみ。
2図書館では常に付き添いのそばにいること。
3絶対に巫女姫と知られないようにすること。
以上のことが守れなかった場合、出入り禁止とする

手習いや講義や儀式などで忙しい巫女姫としての暮らしの中で、図書館通いは一番の楽しみとなりました。七緒は暦に印をつけて、次に行ける日を指折り数えて待つようになりました。


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あきゅろす。
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