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京七小説

これはすなわち5年後に竜神様の花嫁となる、つまり神にささげられる身の上になったということです。
儀式が終わると、皆七緒にお祝いを言いました。
鈴鳴姫になれるとは、なんて名誉なことでしょう。
七緒も自分自身にそう言い聞かせました。

でも、その日から、七緒は眠れなくなりました。
夜、目を閉じると、どこからともなくあの箱の音が聞こえるような気がします。
底知れぬところから響いてくるような、
遠くの稲光の轟きのような、
とんでもなく大きな臼を回す音のような
不気味な音が。

 眠りの浅い時には、悪い夢を見ます。大抵溺れる夢です。
体にいくつもの海藻がからみつき、七緒を底知れぬ真っ暗な海に引き込もうとします。
夢の中だとわかっているのに、息苦しさは本物で、七緒は夜中に何度も目を覚ましました。



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あきゅろす。
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