京七小説 2 白哉は一計を案じました。そして緋真に言いました。 「どうか、この舞踏会に出席してほしい。そしてその場で宣言しよう。 君こそ僕の婚約者だと」 それを聞いて緋真はたちまち涙ぐみました。 白哉の愛と真心が嬉しくて、せいいっぱい応えたい、と思う反面、 自分を嫌っている人たちのいるところへ乗り込んでいくのが 恐ろしかったのです。 そんな恋人の弱さが心配になった白哉は七緒に言いました。 「君も彼女と一緒に出席してくれないか。 私の母のことだ、もしかしたら何らかの邪魔をするかもしれない。 しかし、君が付いていてくれれば安心だ」 「わかりました」 七緒はうなづきました。 舞踏会の前の日、素晴らしい衣装と靴が二人分届きました。 緋真には可憐な撫子を思わせる緋色のドレスと靴。 七緒には深い海を思わせる濃い青のドレスと靴。 二人はそれを身につけて、朽木家の舞踏会にむかいました。 [*前へ][次へ#] [戻る] |