京七小説 1 昔々、ある小さな村に、二人の女の子が住んでいました。 年上でメガネをかけたほうの名前は七緒。もう一人は緋真といいました。 ふたりはいとこ同士で、近所の子供たちに字や計算や縫い物を教えたりして、 細々と暮らしておりました。 ある日のこと、この地方を治める朽木侯爵の御曹司、白哉が通りかかりました。 そして緋真と恋に落ちたのです。 白哉は何度も緋真のもとに通い、とうとう結婚の約束をしたのでした。 ところが、白哉の母親、つまり朽木家の大奥さまは、それを許しませんでした。 しかし、どうしても白哉が言うことを聞かないため、大奥さまは強引な手段に出ることにしました。 白哉の誕生日前夜、舞踏会を開き、その場で婚約者を発表してしまうことにしたのです。 優しい白哉のこと。 みんなに知られてしまえば、その婚約者を傷つけないために 素直に結婚するだろうという思惑あってのことでした。 [次へ#] [戻る] |