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京七小説
6 試合
その時、どよめきが起こった。白い胴衣に紺の袴に着替えた七緒が姿を見せたのだ。京楽が相好を崩す
「袴姿もかわいいねえ」
「けがはさせるなよ」
「わかってるって」

太鼓持ちと周りの花魁たちに持ち上げられ、大前田が胴間声を張り上げる。
「よし。七緒、おまえが勝ったら……いやまて、面にしよう。見事ど真ん中に面を入れたらお前の櫛上げ式の後見をしてやる」
思わず京楽は大前田に呼びかけた。
「しみったれだねえ。無条件ではらってやんなよ」
「うるさいぞ。京楽。わざと負けたら承知せんぞ。かわら版屋も呼んである。負けるようなことがあれば、浮竹道場は高弟ですら女に負けると大々的に広めてやる」
「勝っても地獄負けても地獄、か」
皮肉な笑いを浮かべた京楽のもとに、長刀を持った七緒が寄ってきて、話しかけた。
「よろしくお願いいたします」
京楽は七緒が小脇に抱えた長刀に目をとめた。
「見せてもらってもいい?」
「はい」
差し出されたなぎなたを手に取った。手作りらしい。柄の先の部分に七緒と書いてあるのがかすかに読める。
「いい刀だね」
「はい父が作ってくれました」
七緒は長刀を受け取りながら真剣な面持ちで言った。
「手加減しないで真剣に立ち会ってください」
「ああ」
京楽はうなづいた。
「いい試合にしよう」


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