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京七小説

「君、大丈夫?」
浮竹が腕を掴んで助け起こすと、女の子は眼鏡を直し、きょろきょろとあたりを見回した。
「あの、京楽隊長は?」
「方向的にはあっちかな」
「そうですか」
よろよろと立ち上がった女の子に、浮竹は声をかけた。
「放っておきなよ。じきに戻ってくるさ」
「いえ、一刻も早くいつもの髪型に戻さないとだめです」
「別にリサ君は怒らないと思うよ」
「いいえ。リサさんは関係ありません。ただ、隊長にあんなに似合わない髪型でうろうろされるのは嫌なんです。
8番隊の恥です。いつものほうがいいんです」
「なるほど」
女の子がまじめに力説する様子が面白くて、浮竹はくすくす笑った。
「じゃあ、いつもの髪型のほうがカッコいいですって言ってやりなよ。そうすればすぐに捕まるよ」
「そうでしょうか」
少し首をかしげたが、女の子は素直にうなづいた。
「忠告ありがとうございます。では失礼します」
女の子は一礼すると、見事な瞬歩で去っていった。
京楽、お前大事にされてるなあ。
浮竹は少しこそばゆいような気持ちで二人の去ったほうを見上げた。




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