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京七小説

「よお。浮竹」
 廊下を歩いているときに、突然瞬歩で現れた友人に声をかけられた。
「おお京楽。急ぎの用事か……ってその頭どうした」
 いつもは後ろに束ねられている京楽の髪が、今日はきっちり二本のお下げ髪になってたらされている。 
「これか」
 よく聞いてくれた、と言わんばかりの満面の笑みで、京楽はその端っこを両手に持って振ってみせた。
「若い女の子たちの間で流行ってるんだ。うちの隊で一番若い子が編むの上手でね。名前は七緒ちゃんっていうんだけど。
「えらいな、ちゃんと名前を覚えてるのは」
「ふふっ。将来が楽しみなかわいこちゃんだからねえ」
「一応言っておく。手は出すな」
「わかってるよお。いくら僕でもあんな子にてはださないって。
「とにかくさ、その子に編んでもらったんだが、出来上がった途端ほどこうとするんだよ。
そうはさせじと逃げだしたら、もう、どこまでも追いかけてくるんだもん。可愛いったらないね。
京楽はニヤニヤ笑った。
「おや、もう見つかっちゃった。左奥の木立の間。かわいいだろ。」
たしかに京楽の言った通りの場所に、おかっぱ頭の眼鏡の子がじっとこちらをうかがっている。

「僕が『これで、リサちゃんとおそろいになったから見せてくる』って言ったからだろうね。
たぶん、リサちゃんに叱られると思ってるんだよ」
「ならつかまってやれよ」
「そうは思うんだけど、楽しくってさ」
京楽はふと、木立に目を走らせた。
「ほら、くるぞっ」
突然飛び出してきた。さすがこの年で護廷13隊に入るだけのことはある。
見事な瞬歩だったが、だが京楽の動きに及ばない。
京楽は、その女の子をかわして抱きとめると、高い高いをするように持ち上げた。
「た、隊長っ。やめてくださいっ」
「やーだよ」
「こらこら京楽、よせ」
浮竹の制止も聞かず、京楽はすごい勢いで女の子を振り回した。
そして、目を回してふらふらになった女の子を壁にもたれるように座らせると、
「この子頼むね」
といいのこし、瞬歩で去っていった。

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