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京七小説
京楽と七緒 2
 七緒は胸を押さえてうつむいた。
 なんだかんだ言っても、隊長が自分の思いを受け入れてくれることを期待していたのだ。
 こんな形で唐突に本人から思いを拒絶されるなんて思ってもみなかった。
「忘れたほうがいい。わかったね?」
 いつもの京楽らしくない物言い。七緒はかぶりを振った。
「いやです。これは私のプライベートです。いくら隊長でも指図されたくありません」
「七緒ちゃんのために言ってるんだ」
「隊長にご迷惑はかけません。だから、ほっといてください」
 たちまちのうちに涙があふれだす。泣き顔を見られまいと七緒は京楽の横をすり抜けて、走り去ろうとしたが、腕を掴まれ引き戻された。
「放して下さい」
 京楽は手首を握ったまま放そうとはしなかった。
 部屋の中に七緒のすすり泣きだけが響いた。
 ため息をついて京楽は七緒から手を離すと、深い静かな声で話しかけた。
「悔しいね。七緒ちゃんが、知らない誰かに泣くほど恋い焦がれているなんてさ。」
「え?」
「しかも相手は付き合うのに条件付けるような馬鹿男だ。どうして僕じゃだめだったんだい」
「あの……隊長?」
七緒はおもわず京楽の顔を見上げた。もしかしたらお互い何か勘違いをしているのではないか。
七緒と目が合うと、京楽はさみしげに笑った。
「意外そうな顔だね。僕がさんざん口説いていたのに全部冗談だと思っていた」
「いえ、あの……乱菊さんからどういう話を聞いたんですか?」
「詳しくは教えてくれなかった。厄介な相手に恋をしていて、そいつが七緒ちゃんと付き合う条件として10人くらい男と付き合えっていったとか」
七緒は思わず額に手をあてた。どうしてそんな話になっちゃうの。
「ところで相手は誰か教えてくれるかな。弟子入りしたいから。死神の誰か?」
「隊長。いろいろと誤解なさってるようです」
「なにが」

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