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京七小説
乱菊と京楽
 乱菊は居酒屋で京楽と楽しく飲んでいた。一緒に飲んでいた修兵とイヅルは早々につぶれて机に突っ伏している。
 チャンス到来。乱菊は話を切り出した。
「隊長ぉ。そういえばこの間友達と飲んだんですよお。真面目でぇメガネでぇ、わりと美人のぉ」
「へえ。美人なら今度紹介してよ」
 しめしめ。ばれてないぞ。酔いも手伝って、乱菊はちょっと大胆に話を進めてみた。
「でぇ、その彼女が恋してるんだけど、相手がすっごい大人の男なんですって。
どんくらい大人かというと、おれと付き合いたいんなら10人くらい男と付き合ってからにしろよって……」
 目の前の京楽の霊圧がみるみる変化したのにビビって、乱ぎくは言葉を切った。
 人当たりのいい笑顔は変わっていなし、杯を持つ手が震えているわけでもない。
だが京楽の中では、強烈な感情が渦巻いているのが感じられる。なんというか抜き身の刀を突きつけられたような威圧感がある。乱菊は酔いがさめてきた。
 あたし、そんなにやばいこと言っちゃったっけ?
 残念ながらそれほどはっきりした記憶はなかった。
 そのため、思いっきり誤解を与えるところで話を打ち切ったことにも気付かなかった。
 冷たい口調で京楽が促した。
「続けて。彼女はどうするつもりなの」
「いや、その……どうすればいいかなって悩んでるらしいです」
「そうか」
 京楽は腕を組み、長い溜息をついた。
「教えてくれてありがとう」
 しばらく難しい顔で何か考え込んでいた京楽が、いつもの笑顔をみせて立ち上がったので、乱菊はほっとした。
「勘定は全員分僕につけておいていいよ」
「ごちそうさまです」
「七緒ちゃんには僕から話をする」
「はい。……あれ?あたし、七緒のことだって言いましたっけ?」
「いや、言ってなかったよ。今まではね」
「はっ」
 口を滑らせたことに気づいた乱菊は頭を抱えた。
「言わないって約束したんですよぉ。隊長。聞かなかったことにしてくださいよぉ」
 だが京楽の姿はすでに店から消えていた。

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あきゅろす。
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