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京七小説
七緒と乱菊
 乱菊は七緒の部屋でくつろいでいた。
 一人暮らし同士の気安さもあって、二人は時々お互いの家で一緒にご飯を作って食べる。
 この日もご飯を食べ終えた後、まったりと四方山話に興じていた。
「よく京楽隊長と飲むんだけどさ、面白いよねあのひと」
「お酒の席ではいいけど、上司にもつと大変よ。」
「私の上司じゃないし、付き合っちゃおうかなって思ってるんだけど、どお?」
 目の前の七緒の顔が、すっと真面目になるのを見て乱菊はクスクス笑った。
「冗談よ。そうかやっぱりねえ」
「なにが」
「あたし、こういうことすぐわかっちゃうの。好きなんでしょ。京楽隊長のこと」
「なにが」
 そういいながら、七緒の顔はあっという間に真っ赤になった。
「とぼけなくてもいいじゃない。そうよねえ。普段はあんなだけど、いざって時には頼りになるし。
いっつも一緒にいて、常に口説かれてりゃ好きになるわよね」
「そんな。隊長は誰に対してもああいう態度だし」
「あら、あたしラブリーだの僕の乱菊ちゃんなんて言われたことないわよ」
「あれは別に、子供の時からの癖よ。私が八番隊に入ったとき、こーんな小さかったんだから。
100年前と扱いが変わってないっていうだけ」
「それはどうかな。確かめてみなきゃ分からないでしょ」
 七緒はかぶりを振った。
「言ってみたって、軽くあしらわれて終わりだと思う。副隊長としても女としても、まだまだ修行とか経験が足りないもの。それに」
「ちがう」
 乱菊は話をさえぎった。
「あんたに足りないのは自信と勢いよ。それと軽いノリ。現世の女の子を見てみるとわかる。あんたみたいに何十年もうだうだしてない。ちょっと気に入った男がいたら、3日後には付き合い始めてる。見習いなさいよ」
「そんなの、人によるでしょう。第一寿命が違うし」
「いいの」
 都合の悪いことは華麗にスルーし、乱菊は話を続けた。
「わかった。京楽隊長が七緒のことどう思ってるか探ってきてあげる」
「え、そんな」
「じゃ名前出さない。これでどう?」
「それなら……でも、どうやって」
「まかせて」
 乱菊はにっこり笑った。

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あきゅろす。
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