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京七小説

自分の思う「伊勢七緒」は、こんな風ではなかった。
真面目で品行方正で、執務室で上司と体を重ねるような不道徳なことなどしないし、
ましてやそれで悦ぶようなふしだらな女でもなかったはずなのに。
京楽によって変えられてしまった。それでいて京楽がいとしくてならない。
京楽はまだ手に死覇装の袖を通したままだ。
その襟元をいじりながら、七緒は少し恨み言を呟いてみた。
「ひどいです。こんなところでいきなり」
七緒の額に軽く唇を押しあてたあとで、京楽は言った。
「ごめんよ。七緒ちゃんが可愛い声あげるから夢中になっちゃった」
「それに私ばかり脱がされて」
「僕のほうは七緒ちゃんが脱がせてくれないからじゃないか」
何を言ってもこんな調子で受け流されてしまう。いつものことだが、隊長の手の上で転がされているような気がする。
七緒はため息をついた。
それはけして不愉快ではないのだけれど。
「ひどいです」
七緒はもう一度文句を言ってみた。すぐに返事が返ってきた。
「ごめんよ」
何が悪いのかたぶんわかっていないだろう。
女には取りあえず謝っておけばいいと高をくくっているのかもしれない。
ひどい人。と七緒はアンニュイな気持ちのまま京楽の肩に顔をすりよせたのだが、
頬の下から、するりと着物が引き抜かれた。
「はい。これで僕も脱いだからおあいこね」
「え、今のはそういう意味じゃあ……」
 京楽は七緒の腰に片手をまわし体にぴったり引き寄せると、もう片方の手を七緒の頭の後ろに当て、
ほしいままに唇をむさぼった。
さっき七緒の中から引き抜かれたものは、七緒の足の付け根にすりつけられて硬さと存在感を取り戻している。
京楽は、七緒の耳元で囁いた。
「じゃあ、次は椅子の上でしようか。あと、机に手をついて後ろからっていうののも試してみない?」

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