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京七小説
ある日の八番隊 3
部屋の真ん中に向かい合って座った二人。伊勢副隊長は目を押さえてうつむいていて、そのむかいに座った京楽隊長は檜佐木のほうを向きながらも、指はなぜか天井を指さしている。
檜佐木も上を見たが何もない。
「京楽隊長。天井がどうかしましたか」
「ん?ああ、違うよ。これ」
京楽隊長は、ぴんと立てたままの人差し指を見て、くすくす笑った。
「こっちに来て見てみなよ。これは現世の製品でね。コンタクトレンズっていうんだ」
「はあ。知ってますけど」
近くに寄ってみた。なるほど魚のうろこのような透明の真ん丸なものが人差し指の上に乗っている。
「七緒ちゃんが買ってみたんだけど、眼の中にいれられないっていうから、手伝ってたわけ」
伊勢副隊長が顔をあげてため息をついた。
「やっぱりだめですね。動きやすくていいかと思ったのですけど」
「んー七緒ちゃんは眼鏡も可愛いからどっちでもいいよ」
「はいはい。ありがとうございます」
 軽くあしらわれながらも、京楽隊長はにこにこしがら副隊長が部屋を出ていくのを見守っていた。
 臆面もなく「かわいい」と言い切ってしまう京楽のことが檜佐木はちょっとうらやましいな、と思った。
 今回の「バラ色の小道」はなかなかいい出来のようだ。


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あきゅろす。
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