京七小説 1 「これで、今日は帰っていいんだよね」 八番隊執務室で京楽は自分の副隊長に声をかけた。 「結構です。お疲れ様です」 「じゃあ、今からぼくんち来てよ」 突然誘惑モードで話しかけてきた上司に、七緒は答えた。 「だめです。明日は現世に出張なさるんですから、今日はよくお休みになってください」 「それより、七緒ちゃんの柔肌を味わって元気を出したほうがいいのに」 「いけません」 七緒が睨んでも、京楽は気にする様子もなかった。 「ああ、わざわざ隊長の僕が現世に出張ってことは、すっごい手ごわい虚がいるんだろうなあ。 僕死んじゃうかもしれないなあ。かわいそうだなあ」 そういいながら、京楽はちらちら七緒を見た。 「日番谷隊長も砕蜂隊長もおられることですし。隊長は予備というか、バックアップが主な任務かと」 「つれないんだから」 京楽が出口に向かったので七緒は書類点検の続きに戻ったが、突然、明かりを消された。 「隊長。何のつもりですか」 立ち上がったが、戻ってきた京楽にたちまち引きもどされてしまった。 「ん、おまじない。僕のいない間思い出してもらえるように」 京楽は七緒のいすに座り、強引に七緒を膝に乗せると、首筋に唇を這わせた。 「隊長。やめてください。こんなところで」 「こんなところだからいいんじゃないか。それに、ここにいる限りは僕が何を言っても隊長命令だし」 「何勝手なことを言ってるんですか。残業している隊も多いのに」 「鍵かけたから平気。あとは七緒ちゃんが声出さなければいいの。はい、隊長命令」 「そんな……あっ」 [*前へ][次へ#] [戻る] |