キミハハルカ※
あの日を境に君は姿を消した。
手を伸ばしたなら、引き止めることが出来ただろうか――
どうにもならない後悔と、最後に見た面影が頭の中でぐるぐると渦を巻く。
それらを振り払うようにおもむろに首を振って、俺は立ち上がる。
気づくのが、遅すぎた。
いつもそばにいてくれた君を、その当たり前がとてもいとおしかったことを、今頃になって気づくなんて俺はなんて愚かなのだろう。
瞼を閉じる。
脳裏に浮かぶのは優しい笑顔。そして、最後の涙。
君は、俺を救ってくれた。
全てを恨み、世界すら呪った俺に生きる意味を、光を与えてくれた。
だから――
だから今度は、俺が君を救ってみせる。救いたいんだ。
消して赦されることのない罪を犯してしまった。そんな俺が、君を救う権利なんてないのだろうけど。君は、きっと俺を赦してなどくれないのだろうけど。
否、赦されなくてもいい。
ただ、君が泣く必要なんてないと思うんだ。
ただ、笑っていて欲しいんだ。
我ながら身勝手な願いだ、と苦笑する。
だけど、決めたのだ。
翡翠の双眼は意志を秘め前を見据える。
待っていてくれ。
きっと、君を救い出すから――
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