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夜の世界7


「とりあえず、一端さっきのことは忘れよう」

落下した窓枠を急いで回収し、無理矢理はめ込むことで突貫修理を済ませたダズは目の前に新聞紙程の大きさの紙を広げた。そこに描かれているのはオークション会場とその周辺の地図であった。周りを囲むようにして三人は地図を注視する。

「明日の任務の事を確認しておこう」

ダズは赤インクのペンを取り出すと、地図へ印を書き込んでいく。
地図には会場の様子が事細かに描かれており、物見せのステージや客席、商品の運び込まれる通路まで把握することが可能である。パンフレットとともにミリカが何処からか仕入れてきた極秘資料だ。
それによると中心に位置するのが円形のステージ。それを囲むようにして同形状に波紋のように座席が広がっている。そこで参加者は品物をかけて競売を行うのだろう。ステージの北側にのみ通路が通っており、そこがおそらく商品の運搬するための通り道だ。

「今回俺たちの仕事はまず第一に依頼者の護衛。この町を出るまで確実に依頼人を守ることだ。逆に危害を加えたり、下手に刺激するなんてもってのほかだからね」

「……なんで俺を見るんだよ眼鏡」

「君には前科があるからね。まあ次だ」

面白くない、といった顔で見てくるジャルを放って、ダズは中指で眼鏡を上げる。

「第二に、オークションに出品される『コアを持つ生物』の調査。優先順位は下がるけど、これが本来の目的だ。おそらく、商品はこのステージ北の通路を通って運び込まれてくる。商品は厳重に守られているだろうし、ステージ上に上がった商品を近くで調べることはできない。ましてや、参加者の護衛でしかない俺たちがステージに近づけるわけがない」

「ならどうするんだ?」

「ステージに上がる前に調べるしかないだろうね」

「んなことできんのかよ?」

「少しは自分で考えろよな。そこが君の力の使いどころだってのに」

持っていた赤ペンの先でジャルを指す。意味が分からない、とでも言うようにジャルは怪訝そうに視線を返す。それに対して小さく息を吐くダズ。



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あきゅろす。
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