青空ダイブ。1/2
この一歩を踏み出して、
飛んでしまいたい…
青空ダイブ。
「こんな所にいたのか、ツナ」
「…山本」
「もうすぐ発つんだろ?」
振り返った先に佇む山本。
いつもの笑顔でこっちを見ていた。
「…うん。なんか実感ないけどね」
「ハハハ。お前がマフィアのボスなんてな」
数時間後には日本を離れてイタリアへと向かう。
ボンゴレのボスとして。
「なつかしーな、ココ。ツナとダイブした場所」
何年か前までは普通の学生だったオレ達。
普通の学生でいられた場所。
「山本は…」
「ん?」
「後悔しない?」
山本は野球を捨てた。
その手に握られるのはもうバットではなく、戦う為の武器。
あんなに野球を愛していたのに…
なんとなく山本の顔が見てられなくなり背中を向けた。
眼下に広がるのは学校のグラウンドと並森の町並み。
「いいの?今だったらまだ――」
「ツーナ」
呼ばれた声が何も変わらない、いつも通りの声だったから。
弾かれた様に振り返った。
「オレ、見つけちまったんだよ」
「え?」
「野球より大事なもん」
そんな事を迷いなく言わないで欲しい。
オレの方がよっぽど…
「ごめんな、山本」
「――ツナ!!」
一言謝って一歩後ろに下がった。
山本の顔色が変わる。
オレの名を呼ぶ声を聞きながら空中に飛び込んだ。
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